2012年3月31日 (土)

〔ブログ更新〕デジクォーツにさようならヽ(´ー`)ノ:デジクロ3期最終回インプレ

『デジモンクロスウォーズ時を駆ける少年ハンターたち』も最終回と相成りました。
3月期放映分から、シリーズ開始当初にアナウンスされていた(『オトナアニメ』での三条陸氏のインタビューによれば、そこだけが必要以上に紹介されてしまったとのことでしたが)歴代シリーズ主人公たちが徐々に登場し、『デジモンクロスウォーズ』としてだけでなく「デジモン」シリーズとしての一つの集大成的な展開となって迎えての最終回です。
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演出は、最終回に相応しくSDの貝澤幸男さん!キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!!!
前回の演出が角銅博之氏で、「デジモン」シリーズ初期4作のSDでもあるお二人のリレーで締めくくるという感じになってます。

ストーリーとしても前回からの続きになっており、地球全体をデジタル化して呑み込もうとするクオーツモンをハントするための唯一の武器、ブレイブスナッチャーがリョウマの裏切りによって破壊され、さらにタイキとシャウトモンも大きなダメージを受けて動けないという、絶体絶命の状態からスタート。

アスタモンがクオーツモンの擬態であり、リョウマを実は操っていたという真実を明かした後、一気に地球規模のデジタル化を進めるスケール感あるカタストロフにまず圧倒です。

何より特筆すべきは、前回でネネやキリハを含め歴代主人公が勢揃いし、ゼンジロウ、アカリもクロスローダーを手に入れたものの、彼らが力を結集して集団でクオーツモンに立ち向かうのではなく、あくまでも『時駆け』の主人公=タギル&ガムドラモン(アレスタードラモン)に力を貸して、この二人がクオーツモンと戦うという、キャラドラマとしては極めてミニマムな、絞り込んだ内容になっている点です。

Digi79_03同時にタイキがタギルに“6人目の勇者”としての役目を託す際の、ゴーグルに仮託させたバトンタッチ的な見せ方も熱い!

歴代主人公がそろい踏みして強大な敵と戦うイベント的な物量感は、ある程度前回の見どころとして用意されていたので、自分としてはタギルとガムドラモンにスポットを当てた最終決戦は、二人の熱血的な感情を追い続けることで散漫になることなく、大変締まった内容になったと感じられました。

さらに、Aパートでの歴代の勇者の力を借りて活躍するシーンでは「レジェンド・クロスウォーズ」、Bパート前半のクオーツモンとの一騎打ちでは「Yell」の軽快なアレンジ曲、バトルクライマックスでは定番曲「タギルチカラ」と、アクションのシチュエーションに合せた選曲も、大いに燃えるものがありました。

Digi79_08またクオーツモンが人間のデータを生きたまま取り込み、盾にしてタギルたちを追い込む辺りは、いわゆる原作版『デビルマン』の「ジンメン編」のそれ。クオーツモンの腕や体から伸びた触手の先に、タイキたちの顔が出現するホラー的なビジュアルには総毛立つばかり。
この手のシチュエーションの多くが、“辛い犠牲を払って得た苦い勝利”のための布石として用いられるのに対して、そこを如何に退けてハッピーエンドに導くか?という形になっている点も、感心しきりデス。

Digi79_01そのクオーツモンの、なんとも異形感ある奇っ怪な四本腕のデザインや動きもポイント高し!
巨大な球体と合体して地中へと潜ってゆくとか、その巨大な縦坑へとタギルとアレスタードラモンが追いかけてゆく辺りは、地底と穴が大好きな(笑)貝澤さんらしいトコロでもありますね♪

前回から登場のブレイブスナッチャーやそれを引上げるためのデバイスの形状が、熊手型や六分儀型というアナロジカルなモチーフなのも、個人的には貝澤さんぽい感じがしました☆

Digi79_09そしてクライマックスで、破壊されたブレイブスナッチャーとデジクロスしてアレスタードラモンに“装備”させることで修復するアイデアは、『デジクロ』シリーズたればこそ!

大団円での、タイキからタギルへと(位置関係的に)ぐるりとPANするロングカットでのキャラクター勢揃いも圧巻で、しかもタイキの台詞に沿ってPANするという、カメラワークもなかなか手間のかかったものになってます。
ちなみにこのカットの原画、演助さんのTWによれば、全部で2mにもなったとか!
貝澤さんは、意外と『ウォーリーを探せ』的な(!)キャラクター総登場みたいなことを良くやるのですが(『ファンファンファーマシィー』のDVD用新作OPや5期『鬼太郎』2年目OPが好例)、今回はその究極版といったところでしょうか?(笑)

しかし何より貝澤さんらしさに溢れていたのは、エピローグパートでしょう!
『時駆け』1話のアバンと被せた始まり方(ナレーションも完全に被せている)ですが、1話では対抗試合で賑やかな雰囲気だったのとは逆に、タイキ、ユウ、タギルの三人だけで、しかもタギルは覇気がない、ガムドラモンとの別れの淋しさを感じさせるどこか虚脱した空気感にしています。

『鬼太郎』19話や96話のように、最初と最後を同一シチュエーションで揃えるのも、貝澤さんが好みの手法だったりします。
もっとも貝澤さんが1話と最終回の両方を演出するシリーズは少ないので(涙)、この手法を用いて締めくくるシリーズは多くないのですが(苦笑)。

Digi79_10その様子をガムドラモンがうかがうシルエット処理に光る目というカットも、1話であったシチュエーションです。
その姿にタギルがいち早く気がつき、再びハントを始めるところでエンドマークになるのですが、以降二人は完全にシルエット処理になっており、敢えて喜びの表情を画で見せず、手振り身振りと声優さんの演技で体現させる感情芝居が、なんとも感動的!!Digi79_11

時計屋のおやじの意外な、しかし非常に腑に落ちる正体とともに、最終回でありながら、新たな物語の広がりも感じさせる結末でした。

作画も『鬼太郎』からお馴染みの作監級の面々が勢揃いした上に、3期は降板していた大塚健氏と冨田与四一氏も復帰しての、こちらもオールスターズ状態ヽ(´ー`)ノ
Digi79_02冨田氏といえばネネさんなワケでして(笑)作画の雰囲気からしても(利き作画が得意ではないものの)、担当カットは十中八九、クロスローダーを手にしてクロノブレーカーを強化するデジクロチームではないかと☆
てなカンジで♪最後にもう一度、冨田作画のネネさんが観られたのも嬉しいトコロでしたよ☆

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2012年1月26日 (木)

[ブログ更新]デジクロ3期、2度目の貝澤演出回は、珍しく女キャラ度高い変化球なエピソード♪

これまでの「デジモン」シリーズとは色々と変えた見せ方が特徴的な『デジモンクロスウォーズ時を駆ける少年ハンターたち』。
デジクォーツというリアルワールドとのレイヤー的なバトルフィールド的設定だけでななく、デジモン自体のスタンスも「デジタル世界が生みだしたモンスター」というよりは「デジタル時代の魑魅魍魎(モンスター)」と言った方が腑に落ちる感じで通している点が大きな特徴になってます。

そのストーリーも、従来のような巨悪デジモンに立ち向かうのではなく、1話で時計屋のおやじの台詞にもあるように、人間の悪の心と結びついて悪事を働くことがベースになっている点や、バトルの決着もハントで仲間にするというのが基本パターンなので、単純な退魔ものとは一線を画していることが多いのも特筆すべき点ですね。

これは1クール目中盤以降に、より如実になってきてまして、作劇的なノリはかなり5期『鬼太郎』的といえるでしょう(笑)。

Digimon70_01そして今週は2クール目に突入しての、最初のシリーズディレクター貝澤さん直接担当エピソード。
まだ直接演出は、今シリーズの世界観を呈示する第1話(55話)しか担当していなかったので、どういう話になるのか?も大いに興味がそそられるところでもありました。

幽霊から電話がかかってくるという噂のある古びた電話ボックス。その情報を知ったタギルとユウは、デジモンの仕業かもと思い、電話ボックスがある峠へとやって来た。そこで二人は幽霊ハンターを自称するカオルという少女と出会った。霊的存在を“科学的に”信じるカオルは、噂の正体を確かめにずっと電話ボックスを見張っていたのだ。その時、電話ボックスの受話器から確かに何者かの声が!さらにカオルが持つ幽霊探知機は反応があり、それを辿って行くと、付近にある水力発電所に辿り着いた。三人は正体を調べるために、発電所の中へと入ることにした……。

というストーリーで、シチュエーションからして今回はかなり『鬼太郎』チック(笑)。
殊に、アバンでの『ブレアウイッチ』を思わせる、POVで描写された幽霊電話ボックスの心霊体験ムービー(動画サイトからの映像という見せ方もポイント!)は、まさにホラーもののそれ!
また、携帯電話の普及により公衆電話自体が少なくなった現代に於いて、「古びた電話ボックス」自体が怪談めいたものでもあります。

Digimon70_09そんなスタートの今回ですが、まず印象深いのが、執拗なまでに(笑)多用されていた引きレイアウト。
電話ボックスへとやって来るタギルとユウのシーンが如実で、いつもの住宅街と違う、山中というランドスケープと合せて、かなりインパクトがあります。
また寄っても多くのカットがフルサイズという客観的な雰囲気が、ホラーテイストで引っぱる話にマッチしています。
それに加えて、今回の実質的な主人公=カオルにより感情移入を促す意図も案外とあるようにも感じますデスね。

話としては、タイキはほとんど登場せずシャウトモンに至っては出番すらない相当に変化球なのだけど、それ以上にモブキャラも登場せず、必要最小限のキャラしか登場しないのでミニマムな雰囲気が全体に漂うのもミソ。この感じも貝澤さんらしいところ。

オチもそうだけれども、今回のバトルの理由にしても、勧善懲悪な方向に終始しない持っていき方でもあり、デジクロ3期のあり方が強く打ち出た内容でした。
特に、パタモン、ポヨモンをいつものようにハントするのではなくて、二匹の望み通りに水力発電所付近で静かに暮らせる形で決着付ける持っていき方もグッド。
それを受けてのハートウォームでちょっとファンシーな余韻を出す、ラストの電話ボックスのシーンもニヤリでした♪
Digimon70_11カオルの帽子をポヨモンが被って電話ボックス前で彼女とすれ違う(もちろん、その姿はカオルには見えない!)カットが、ある種の“気持ちの繋がり”感を出すだけでなく、帽子を無くす──ポヨモンにあげることが、いわゆるファンタジーの残滓性を醸し出しているというギミックにもなっている点がポイント。
・・・普通は、カオルの方が残滓になるものを手にして現実に戻るのですがが、所持品を失わせることでそこを演出する、逆手パターンというのも心憎い限り。

と同時に、このところ割と定番化しつつある、ゲストデジモンと関わった子供たちが、デジモンの存在をきちんと認識する(友人になったり、ハンターになったり)というパターンを外した、その意味でもイレギュラーな展開と言えるでしょう。

ところで今回について暮田公平さんが
「穴、落ちるキャラクターの芝居、上から迫ってくる(落ちてくる)巨大な回転体、帽子かぶった女の子、貝澤さんだなあ」
と呟いておりましたヽ(´ー`)ノ
確かにその通り!!
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実際にカオルの縦坑への転落とその途中での芝居(逆さ吊りになってしまうカオルが、いかもに貝澤さんぽいノリです♪)や、フランシス水車の落下の危機など、縦方向を意識させる見せ方で押してくるところがやはり演出的な見どころでもあります。

あと雨も降ったしww
さらに「貝澤さん的」といえば、やっぱりシャドウの落とし方でしょう!
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発電所へと向かって鬱蒼とした木々の間を歩いて行く半調シルエットのタギルたちや、発電所内での天窓から差し込むうっすらとした光と陰のコントラスト、地下階へと降りて行くカットなどでの手前にグラデーションのシャドウを敷いた薄暗い雰囲気の作り方は、流石の一言♪

細かい点ですがアイルが回想するシーンで、『ガッシュベル』の頃から貝澤さんが使い続けてきた、フレーム周囲をモノクロ化してビネット加工した回想処理ではなく、全体にハイキー化して軽いガウスぼかしのようなデフュージョン処理をしたものになっていたのが、「お!」と感じたり。

ちなみに「帽子を被った女の子」というキーワードは、恥ずかしながら実はこの暮田さんのTWで気がつかされまして、『鬼太郎』では19話の里見ちゃんがまずその筆頭で、細かいところでは『ファンファンファーマシィー』29話でもぽぷりが、土ネコの穴へ探検に行く際に帽子を被ってます。しかもこの帽子はコンテでのアレンジで、しかも今回のデジクロ同様、最後は帽子は土ネコの手に渡るのです!

それを思うと、カオルの帽子というのはコンテ時のキャラ表発注で貝澤さんがオーダーされたのでは?とか思ったりしたりして☆

Digimon70_04またトラブルメーカーとしてアイルも登場して、話をややこしくする(というか、そもそも事件の元凶だったりもするのだけれど)賑やか師的な見せ場がふんだんに盛り込まれていて、久々というか珍しいくらい女子度の高いエピソードでもありますねヽ(´ー`)ノ
Digimon70_02アイルがユウにお熱を上げてるカンジを、タギルには邪険な態度で裏表激しい方向に演出してギャグっぽく見せる描写も、コメディリリーフらしくてOK。
アイルが事件の元凶という展開から、最後は彼女がバスで一人強制送還されるかのような絵面のカットも──心情的にはおそらくユウと一緒に帰れないのでガックシだと思うのですが──、憎めないながらも罰が当たった的な雰囲気に持っていっている点も上手いです。

Digimon70_12ゲストのカオルは話の展開もあって、かなり不敵かつ冷静でありながらも行動的で、男勝りな少女として描かれておりまして、いわゆる女の子らしい可愛い笑顔という表情はほとんど出てこない点も特徴ですね。

このキャラ付けが、(作中ではあまり接点はないものの)アイルの例によってミーハーなノリとも上手くコントラストが付けられている感じもありました。

Digimon70_08余談ながらラストカットに、チラリとアカリがいたのも嬉しかったりヽ(´ー`)ノ 
でもオポッサモン役として白石涼子さんがいたのだから、何か一言くらいあってもよかったかも?(そのくらいの呎はあったような気もしたし)…とか思わず贅沢なことをいってみたりして(^^;;

てなカンジで♪全体としても(おそらくシナリオ段階から)変化球なエピソードだったわけですが(笑)、そんな話を担当するところもちょっと5期『鬼太郎』的だったり……ですね。
いずれにしても貝澤さんの演出は、毎度のコトながら自分をゾクゾクさせてくれますよ☆

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2011年12月11日 (日)

「プリキュアにちからを〜〜!」TVのネタバレOP期間(笑)も終了したところで、ある意味では今さら感サクレツですが(苦笑)劇場版スイプリ、インプレッションです〜。

もう年末ですが、11月末に二度目の劇場版『スイプリ』を見てきました。
Pc119147

ご存じの通り、今回の映画は「プリキュア」映画としては初めて、キッチリ本編とリンクした内容になっていて、公式には36話と37話の間のストーリーとされていますが、37話とこの劇場版のどちらを先に観てもあまり問題ないように工夫もされています。

例えば、アコがメイジャーランドへ帰る云々のやりとりやエレンに対してアコが「姫様はやめて」と言ったり、改めてアコがミューズとして戦い続ける決意をするくだりなど、37話と敢えて重複したシチュエーションが盛り込まれています。
…が、流石に11月末ではちょっとちぐはぐなカンジもありますが、厳密に時制を合せているわけでもないので、極端に違和感があるほどでもありません。

また映画のメインテーマになっている、アコとメフィストの親子の絆も、メフィスト自身が改心後TV本編では現状まだたいした活躍をしていないので(そこもシリーズ構成的に考えられていると思われますが)、最大の見どころであるメフィストの家族への想いは、この映画でしか観ることが出来ない点もミソ。

本編とのリンクという点でいけば、ひまわり畑の中を幼いアコを肩車して楽しく進むメフィストという、36話でも出てきた幼い頃のアコ姫がひまわりのカチューシャをしていた意味を絵解きする感じのシーンもあって、そこもニヤリですね。

その改組磯シーンにも象徴されるように、作劇的には父子の関係性を浮き彫りにしているだけあって、誤解を恐れずに言えば、この映画の真の主役はメフィストと言っても良いでしょう。
…重たい言い方をするならば、メフィストの贖罪を描く話になっているので。
もっとも、メフィストが基本三枚目キャラなので、適度にコミカルなので、全体としてはシビアな感じはないですけれど。

ただそれだけに、要所要所で見せる格好いい演技(堀内賢雄氏のイケメン声と眼光鋭い表情芝居の両方)が、ギャグキャラ芝居とのシームレスな流れも相まって、グンと引き立っています♪

例えば、メイジャーランドに響たちとやって来たシーンで、鍵盤の道が突然消え去った時に、咄嗟にアコを抱えて庇うように落下する父親らしさと、着地失敗の上に、響たちにクッション代わりにされてしまうかっこ悪さ(それでもアコは離さずにいるところが、さりげなくイカしてる!)。
あるいは、ドラマ面でのクライマックスといえる、囚われたアコの前で必死に歌を歌い続ける健気な姿──ダブラしでメフィストの心が幽体離脱するかのような画にして、「心で歌う」姿を表現する演出も憎い!
また、アフロディテに剣を向けられない苦渋の表情や、その後のハウリングを引きはがす一か八かの策として、王宮から彼女とともにダイブするシーンでの、鬼気迫る駆け引きの台詞なども胸を打ちます。

そんな真摯な姿に、ちょっとアコが父親としてメフィストを見直すというストーリーの構造なので、一緒に観ている親御さんたち(特にパパさん)は、「思ったよりもいい話だったね」という以上に、もっとダイレクトにメフィストに感情移入できるのはないかと思います。

プリキュアはキッズ向けではありますが、親子揃っての鑑賞が最も多いと思うので、メフィストを裏主役にしたのは大正解だったのではないでしょうか。

一方、本来の主役である響・奏・エレンの活躍も当然あります。
監督の池田洋子さんは、アコ-メフィストと同時に、本作の基本ラインである響-奏の関係性も意識していたとのことですが、そこをアピールするように前半の森の中でのコミカル気味なバトルでは、メロディとリズム、エレンとハミィに別れる形で展開して行きます。ここでの、二人が無理矢理ベルティエを出そうと悪戦苦闘する辺りの漫才感がもう最高☆

さらにクライマックスのハウリングとの戦いで危機に陥り、クレッシェンドキュアメロディに変身する前後は、メロディとリズムにフォーカスした見せ方になっているのもポイント。
ハウリングの右手に掴まれて動けないリズムを救うために、単身立ち向かおうとするメロディ。そのリズムごとメロディを殴り潰そうとするハウリングに、悲痛な叫びを上げるリズム。その刹那、クレッシェンドverになったメロディがリズムを救い出し、その手を取ってふんわり着地すると展開や画面の構図は、完全にメロディ=王子様・リズム=お姫様のそれ!

意図していたかは分かりませんが、その意味では宝塚的でもあります。
その上でハウリングを圧倒させるいわば必殺技として、メロディとリズムでのクレッシェンドverのパッショナートハーモニーなのですよ!!
最終的には4人のスイートセッションアンサンブルで打ち倒すわけですが、そこはミューズが4人でプリキュアだと意識する流れもあるので、やむなしというよりは妥当なところだと感じました。

で、本作はTV本編と完全にリンクしていると言うことは、逆にこの流れを受けて、最終回ではリズムもクレッシェンドverになって、パーフェクト版のパッショナートハーモニー・クレッシェンドを見せてくれる可能性もあるわけですねヽ(´ー`)ノ

さてさて、ここまで来て今回の映画のメインゲストであるスズに全く触れていないのですが(笑)、正直な話、メインゲストとしての印象は薄いです(^^;;

本編呎(前説や二段構えEDも込みで)70分前後という制約ゆえ、おそらく脚本段階でなくなく掘り下げることを諦めたのではないかと考えられます。
…もし後20分呎があれば、スズとアコの関係が描かれたのではないでしょうか。
なのでかなり状況説明キャラという部分は否めないのですが、その結果としてドラマをアコとメフィストに集中させることにもなっています。
Pc118956tただスズとアコが友情の証として持っているペンダントを、ミラクルライトーンのトップとデザインを合わせていて、彼女がプリキュア達の戦いを見てそれを握りしめ応援する気持ちを込めるという流れにして、ライトーンの登場に説得力を与えている点は見逃せません。
そういった具合で、下手に話が散漫になるよりは、このバランスで正解だったという印象の方が強いですね。

細かい点では、冒頭の加音町でのBGMの付いていないカットでは、街の喧噪感として楽器のチューニング音を乗せることで、音楽の街の印象や、音楽を奪われた後の異常感を演出する形にしている辺りがゲイコマ。
同じように、音楽を失ったメイジャーランドでは虚ろな静寂感を出すために、無音にするのではなく乾いた風の音ややけに響く靴音など、巧みにSEを利用してもいます。

という具合で、トータルとしては良い意味で軽めにしてアクションもふんだんな内容で、それでいてドラマとしての見応えもちゃんとある仕上がりでした☆

が、不満が一つ。
本編EDが実質1ハーフ程度なので、エンドテロップのスクロールが速い速い!
原画マンを追い切れないよ!!www

ちなみに、コンテが複数の演出家で分け合っているのは事前に知っていましたが、演出処理も山口裕司さんと廣嶋秀樹さんが入っていたとは!
作監補での宮本絵美子さんの参画は想定内でしたが、青山充さんも作監補だったことに、超ビックリ!…森でのシーンが青山さんの作監パートではないかしらん?

ところで、1回目に観た時、多くの子供たちがニャンバイザーをハミィ側にして被っていたのも印象深かったです。
ハミィをプッシュしてきたマーチャン展開や、それを後押しする愉快なキャラ付けが大成功している証だなぁと思ったり♪
…火曜日に観た時には、在庫が無くなってしまったのか、バイザーは配布していなかったようでした。

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2011年11月30日 (水)

たの幼恒例のプリキュアDVD。でも今年はちょいと方向性が違うのでした。

『プリキュア5GoGo』以来毎年、年末付近の講談社幼児誌に付いてくるプリキュアのDVD。
今年は昨日発売した たのしい幼稚園1月号に付いてきました☆
Tanoyodvd

例年ならば「おたのしみDVD」と銘打った二巻構成で、前後期両OP・EDやバンクシーンをまとめた、いわば“資料系”映像集なのですが、今年はなぜか単巻で、しかも知育系コンテンツやヘアアレンジのハウツーを中心にした内容で、タイトルも「あそぼうDVD」。

資料映像的なものを期待していた人には、結構残念かも知れませんデスね〜(^^;;

22h00m34s51でもこれまでこのDVDを見てきたファンならば分かると思いますが、毎年実は一番の見どころは着ぐるみプリキュアが繰り広げる漫才トーク(笑)だったりするわけですネヽ(´ー`)ノ

そこは、今年もそれなりに安泰♪22h12m25s0
着ぐるみのメロディとリズムがMCとして登場し、各コーナーを繋ぐ際にイイカンジのトークを見せてくれます。
特に、10話でのゴリラダンスを着ぐるみの二人が披露してくれるとか、仲々侮れない一幕も☆

また一番の売りになっている、メロディ、リズム、ビート、ミューズの髪型を実際にリアルょぅι゛ょさんにしてもらうコーナーは、ヘアアレンジャーさんの腕前に唸らされたり。
22h01m54s30
で、ヘアアレンジコーナーは、メロディへのなりきりでは小清水亜美嬢が説明するというように、各プリキュアがそれぞれ説明する形になっていまして、ここでミューズとビートがカメオ的に声だけ登場します(^^;;
ここでの大久保瑠美嬢のしゃべりのテンションが、アコというよりはかな〜りグリちゃん(特に「のりのりどうぶつずかん」の!)ヽ(´ー`)ノ
そんなグリちゃんみたいなアコも、なかなか萌えるものがありまする☆

22h27m15s89そして、最後はょぅι゛ょさんがキャラリートを着てカワユクキメポーズを取るという、これはこれである意味美味しいカットもあったり(爆)。
・・・もう、あるUSTで「リアル幼女好き」とか言われて以来、開き直りましたよwww

まぁ確かにバンク映像の方がトータル的には美味しいわけですけど、DVDのオーサリング等のスケジュールを思うと、ミューズ変身や技バンクがその段階では完パケていない可能性が高いですから、ハナからコンセプトを切り替えたのかも知れません。
あるいは例年通り2巻構成で、2月号にも付くようにする形なら可能だったかも?…その点で行くと予算的なところもカセになったかも知れないですね。

てなカンジで♪今年も、一応のツボは押さえた内容ではありました。

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2011年8月11日 (木)

ネタバレ多数w「プリキュアオールスターズDX 3Dシアター」観てきました!!!とにかく百聞は一見にしかずで、プリキュアファンならば絶対に観ておくべき超絶映像だ〜〜!

昨日さんざんツイートしたように(笑)、池袋サンシャインシティで開催中の「たまごっち!EXPO」と「スイートプリキュア♪キラキラハーモニー」にいってきました〜。

同時期開催なんて、もうオレ得以外の何者でもないわけですヨヽ(´ー`)ノ
会場に到着した時、どちらも入場待機列が長蛇の列で仰天だったのですが、列が短めだった「たまごっちEXPO」から先に観て、ラブリンとメロディっちの着ぐるみステージを堪能した後、「キラキラハーモニー」を見学。

歴代プリキュアの展示に始まり、『スイプリ』を題材にした様々なプレイコーナーとイベントステージに混じって、目玉の「プリキュアオールスターズDX 3Dシアター」の上映コーナーが設営されてます。

このイベントで使用される3D用上映システムは、少なくとも「鬼太郎カランコロン3Dシアター」の頃から使用されているものと、基本は同じと思われます。
・・・「鬼太郎」の時は、偏光メガネが紙製(キャラ絵があしらわれている)で、それ自体がノベルティとして持ち帰れたのですが、今回はプラスティック製フレームの回収式になっていました。
この上映システムを運営しているのは、東映アニメではなくダイナモピクチャーズ(『よなよなペンギン』とか『ラブプラス』作っている会社)だそうです。

きちんとした上映施設とはもちろん比べるべくもないのですが、見た目のショッパイ感じ(苦笑)から受ける印象に比べると、結構ちゃんとした視覚効果を得られるという、個人的にはなかなか優れたシステムだと思ってます。

「3Dシアター」は入場者には、パスケースがノベルティとして配られていました(年齢差別はないのでw大人もちゃんともらえるよ!)。

さてさて、その「3Dシアター」。肝心の本編はというと、もう感嘆という言葉しかないデス!
あまりの素晴らしさに(それほど激烈に混んでもいなかったし、上映自体も、入れ替え即上映のいわばヘビロテ状態なので)、2回観てしまいましたよ!!

・・・てなカンジで♪以下インプレに行きますが、「3Dシアター」の冒頭部分がある意味一番のサプライズなので、未見の方は読まない方が良いです(^^;;

「3Dシアター」は、『DX2』のエンディングダンスCGディレクターの宮原直樹さんが中核メンバーとして(プロジェクトリーダーなのかディレクターなのかはよく判りませんが)参加しており、そうした流れからも『DX2』のエンディング(ビデオグラム収録の長呎版)の進化形と位置づけて良いかと思います。
・・・余談ですが、この作業と併行していたと思われる『スイプリ』の新EDには、『DX2』と併行していた『ハトプリ』ED同様に宮原さんの名前はクレジットされてません。

総呎は役12分と公開前からアナウンスされていたので、歌とダンスでそれをどう小さい子に飽きさせずに(←ココ重要!)まとめるのかが、実はまず関心事でした。
が冒頭のシーンで、それは杞憂に終わります。
画面は神秘的な星空からスタートして、小さな流れ星の光がとある玩具量販店で販売されているキュアドールのキュアメロディに当たり、彼女は「命」に目覚めて動き始める。すると……というストーリー性あるキャッチーな仕掛けがいきなり用意されていて、そのあまりのサプライズな展開にドギモを抜かれて、もう画面に釘付けですよ!!!

メロディが店を飛び出して“冒険”に出ると、風変わりなTVモニタと出くわし、そのモニタに映し出された「自分の姿」がお馴染みのリアル頭身の3D-CGIモデルになっているという展開で、ここでやはりキュアドールのリズムが登場し、二人でちょっとしたパントマイムの漫才を繰り広げてくれます。
このキュアドールたちのコミカルなオーバーアクション気味の芝居が、また表情豊かで可愛らしくて……。得も言われぬファンシーな空気感もバツグン!
正直キュアドールのモデルを主人公にしたムービーを観たくなってしまいました♪

無生物の玩具が夜になると動き出す、というシチュエーションとしては童謡の「おもちゃのチャチャチャ」や『トイ・ストーリー』などの例を挙げるまでもなく、かなり定番的なものではありますが、「トイザラス風の玩具量販店の店頭にあるキュアドール」が動き出すことが、極めてメタフィクション的で、現実との見事なインターフェイスとしても機能しているわけです。

イベント会場の物販コーナーでも当然キュアドールが売られているわけですが、これを観た子供たちが「このキュアドールも(あるいは家にあるキュアドールが)、もしかしたら動き出すかもしれない!」と感じてもらえることもおそらく含めての、心憎い演出と言えるでしょう。
(もしかすると、キュアドールのCFから逆にインスパイアされたのかもしれません)

そんな具合で、「キュアドールのメロディとリズム(そしてビート)の一夜の夢」といった趣で、メインディッシュである華麗なダンスのオンパレードへと画面が切り替わります。

ダンスシーンで使われる曲は、確か6曲(セットリストを作ってみたわけではないので、違ってるかもですが(汗)で、プロローグ部分も結構長いので、おそらく各曲の平均は1ハーフプラス程度だと思います。
MCもナレーションもなく延々とダンスメドレーを繰り広げるコンセプトの映像なので、幼児はあまり長い曲には集中できないことを考慮しての時間配分ではないかと考える次第。
でも、そこが逆に千変万化な感じになっていて、めくるめく華麗な映像に仕上がっています。

また、曲ごとにステージセットもガラリと一変して、統一感は持たせつつも空間そのものが変貌するような印象もあるので、そこも実は映像のメリハリとして大きくものをいっています。
ステージセットに対する変化の付け方は、『DX2』EDダンスで「ステージが第二の主役」と位置づけていた考え方をさらに推し進めたものですね。

このステージセットの変化は、もう一つ、今回のムービーが3D(立体視)である点も大きく関わっていると思われます。
現在の立体視は「突出感」ではなく「奥行き感」を重視したもので、“スクリーンの向こうに別世界が広がっているような”臨場感を目指しています。
最大22人という大人数を収めるステージ(実際、22人のプリキュアが横一列にズラリと並ぶなんていうカットもあります)の縦横な広大さを表現することが、立体視という側面でのテーマだったように思えるからです。

事実、ダンスがメインの映像ではあるのですが、最初のナンバーでまず驚かされるのは、天井の高さと周囲のアリーナとステージ上のプリキュアたちとの対比から来る、ステージセットの途方もない広大感!
ダンスも、出来るだけフルサイズで、可能な限り踊っている全員をフレーム内に入れ込みたいという、大スクリーン前提のレイアウトにもなっているので、トータルとして引きや俯瞰のショットが多く(少なくとも、そうした印象が付くコンテになっている)、『DX2』の時のようなアクロバティックなキャラのギミックもほとんど入れていないので、巨大なステージでのダンスパフォーマンスといった趣の映像表現だったりします。

そこに、要所要所でキャラのウエストサイズの、いわゆるかぶりつきやステージ上のカメラのカットを入れ込んで、キャラクターモデルも引き立たせる形になっています。
そうしたアップショット(いわばソロ的な見せ場カット)は、各プリキュアそれぞれに用意されていて、その配分もかなり苦労したのではないでしょうか?

そこでの細かい活き活きとした表情や、手付けで加えられたドレスのふんわり感、マスゲームにならないよう微妙に調整されたモーションなどは、もう今さらいうには及ばず!
ステージの広大さと、各キャラのアップ的なショットというアンビバレンツな要素がどちらもちゃんと心に残っているというのは、しかしスゴイ話です。

もう一つ特徴的だったのが、各モデルの前後関係において極力空気遠近を排していたことです。
同じチーム同士(例えばスイートのメンバーのみ)のフレームであれば、前後関係に合せてアップに限り背景側にボケみを加えることはあるのですが、異なるチーム(例えば、手前がスイートで奥にハートキャッチ)みたいな場合は、完全にパンフォーカスになっているのです。
おそらく、22人プリキュア全員が“等しくメインヒロインである”という考え方から来ているものではないでしょうか。
でも人間の目というのは実はこういう時は主観的にパンフォーカスなので、生理的にもカタルシスの高い表現です。こうした物理的なレンズ効果に縛られず、より生理的に則った映像表現が可能な点もアニメの良いところでもありますね。閑話休題。

逆に、ステージ背景となっている「PreCure」のネオンサインは普通にショットの構図に応じてボケ処理が行なわれていて、ここだけ主従関係が付けられている点も、キャラを引き立たせる要因になっているかと思います。

このようにパンフォーカス状態と俯瞰の多用もあって、ロイヤルボックスから鑑賞しているかのような錯覚に陥ります。・・・この観る側のロイヤルボックス的な感じも、個人的にはプレミアム感に貢献している気がしました。

セットリスト面でも、スイプリ主題歌(スイート組のソロ)から始まって、歴代メンバーの紹介の意味も持たせたオールスターズでのお馴染みの曲などを挟み、バラードナンバーで聴かせた後テーマメドレー、ラストナンバーへ怒濤の展開と、ライブステージ感バッチリの並びになっており、その配分具合にも呻らされます。

とにかく百聞は一見にしかずで、プリキュアファンならば絶対に観ておくべき超絶映像です。
そして、いつか大スクリーンでこの映像が見られると嬉しいなぁ!>お願いしますよ、東映アニメさん!!!

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2011年7月 6日 (水)

なんと、ゲゲゲかわら版更新!![ツイッターまとめ&加筆修正]

今週頭にゲゲゲかわら版が、こっそり更新されてました〜!

今回は、ネコ娘のゴスロリドレスとメイド服のデザイン発注絡みのネタを、キャラ表(色見本)や上野さんのラフ画とともに紹介してます!

特に、実は40話と結構密接(?)に絡んでいる45話メイド服のデザイン発注秘話が、なかなか興味深い限り。

かわら版には特に書かれてはいませんが、メイド服のキャラ表の画像2点のうち、上が45話で使われたもの(オリジナルバージョン)で、下の演出指定紙による修正が乗せられているものは40話のコスプレ合戦でのメイド服だと分かります。

40話でのアマビエとの愉快なコスプレ売り子合戦自体、話を膨らませるために貝澤さんが加えたものだったわけですが、アップされている画像を観ると貝澤さんが45話登場のメイド服のデザインに、直接演出指定を乗せてアレンジしていたようです。
コスプレ合戦のメイド服対決も、45話の内容を知った上で先行させるという、遊び心ある手の込んだアレンジだったので、45話の1カットしかないネコ娘のメイド服のキャラ表作成と合わせて、この時期の『鬼太郎』スタッフのノリノリな感じが強く伝わってきます。……というかもう、ただただ上野ケンさんがメイド服ネコ娘を描きたかっただけなんじゃないか?みたいなwww

「だぶるばいと」を制作する際の貝澤さんのお話では、40話のコスプレ合戦での新規コスについてはキャラ表は作成されていないということだったのですが、かわら版の記述と併せて鑑みると、メイド服に関しては実作業的にはこの演出指定されたものをベースに作監の大谷房代さんが修正を入れていた形だったんですね〜。きっと。

その40話のネコ娘のメイド服は、スカート丈が長いトラディッショナルな感じで作画されてましたが、これだけみると45話のオリジナル版とそれほど違わないと言うことに……。
もっとも、貝澤さんがスカート丈長めでと演出指示を出した可能性もありますけどね(^^;;

てなカンジで♪メイド服でのネコ娘VSアマビエの、それっぽい台詞ともども、メイド服も45話から“逆移植”されたとも言えるかもしれません(笑)。

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2011年4月 8日 (金)

一週間経ってもなかなか言葉を紡ぐのが、やっぱり難しい!それほどまでに素晴らしかった『てぃんくる☆』最終回☆…といいつつ、もの凄く長文デスが(^^;;

先週、とうとう『てぃんくる☆』が最終回を迎えてしまいました。
51話で、ジュエルスターグランプリ、バッデスト、アルマとフェアリーナの問題など、シリーズの軸となっていたストーリーは一通りの解決をみせ、最終回はまるまる1エピソード、エピローグにした内容です。

ちなみに、コンテが宮崎なぎささんで演出処理が山本天志監督自ら、という布陣は『ななついろ』の最終回と同じだったりするんですね〜。これが。

Jpt5202
アバン〜OPは前回のラストを受けた、グランプリの授賞式の模様が、お祭気分たっぷりのキャストの皆さん一同によるOPテーマの合唱とともに描かれてゆきます。
これだけで、充分に最終回の感銘を受ける映像だったりするわけです。
また数カット普段のOPと同じカットが挿入されていて、そこのバランスがまた巧い!ラストカットも通常通りなので、OPとしてもきちんと機能させている配慮が、実に心憎いです。

そんな「最初からクライマックス」(笑)で始まる最終回は、あかりたちが魔法学校を卒業する前後のレアレアとジュエルランドでの日常を思い入れたっぷりに描いてゆきます。

Jpt5211とはいえ、全編切ない雰囲気になりすぎないように、あかりが三つの願いをルビーやラブラと話し合うシーンでは、コミカルさを押して「お願い」そのものへのワクワク感もみせているところがミソ。
特に祐馬との結婚式妄想と、それをルビーとラブラに囃したてられて布団に縮こまってしまうシークエンスは面はゆさ炸裂ながらも抱腹絶倒(笑)。Jpt5210

そこを受けての体育館での祐馬との会話では、去り際に「あかり」と初めて呼び捨てにすることで(照れた目線にあわせて口にする芝居も見事!)本作のもう一つの軸であった二人の淡い恋愛にも、さりげなく大きな進歩があったことを印象づけます。Jpot5212
小学生のピュアな恋(プラトニックよりも遙かに!)ということを鑑みると、この会話はほとんどキスシーン並みのインパクト!──ここでバレンタイン回でもチョコを渡すシーンで使った、少女マンガ的なキラキラ効果セルが、「ゴールイン」感を高めています。
そして、またもギャグ顔でメロメロになってしまうあかりが、これまたかわいくて愉快です♪

その一方で出色なのが、ミリアや沙羅、レオン、ニコラたちとジュエルランドの上空をぐるりと飛ぶシーンでしょう。
Jpt5209上空を飛ぶというシチュエーション自体も、実は1話で初めてあかりがジュエルランドを訪れた時に使ったものでもあり、ある種の呼応とも言えるのですが、今回は親しくなった友人たちと色々なおしゃべりをしながらという違い、ミリアや沙羅の変化や成長ぶりを改めて示すダイアログと、そのにこやかで希望に溢れた表情芝居など、別離間近の寂しさと未来へのステップという、まさに卒業式ならではの独特な二律背反的な空気を見事に創りだしています。

呼応という点でいけば、最終回の「卒業式」も、1話で「始業式」や「入学」というキーワードと見事に対を為していますし、沙羅の淋しそうな「魔法の時間はもうお終い」という台詞も予告の決め台詞(当然52話にはない!)を意識していると思われ、そこもまたニヤリとさせられます。

Jpt5208そして、あかりの「別れずに留まっていたい」という想いが一気に爆発する橋の上でのルビーとのやりとりから(揺れる気持ちを強調する、川面に映る二人のインサートカットが効果的!)、そんなあかりに優しく語りかけるアルマという構図が、これまたとてもハマっていて、アルマが4人目のヒロインであったことを痛感させるものとなっています。

Jpt5206そこに7話での千夜一夜草を持ってくる辺りは、もう反則過ぎ!
周囲を舞う花びらや、ルビーの涙で開花する千夜一夜草、そしてルビーを抱き寄せるあかりと、心温まる雰囲気を醸し出しつつ二人の絆を強くみせる名場面となっています!

そして「三つの願い」をどうするか、あかりが決めたところでなんと驚愕の2度目のアイキャッチですよ!!
・・・EDをいわゆる本編ブチ抜きにするために後CM枠を前倒すフォーマット変更にも仰天。
聴いた話によれば、放送局は最終回だからといってフォーマットを変更するのは原則的に嫌らしいので、OPやEDも含めたフォーマットに対する手の込んだ仕込みも、最終回のこだわり部分と言って良いでしょう。

Jpt5205その、あかりの「三つの願い」ですが、実は「願い」というよりもルビーや友人たちへの「感謝」に近く、さらに最後の願いは「応援してくれたおともだち」へのメッセージとも受け取れる内容となっているところが大きなポイント。
ここから被るEDも1番が終わったところで形としては本編終了、2番から合唱バージョンに切り替わる巧みな演出となっています。
『ななついろ』最終回でも「コイスル☆フローライト」の被るタイミングを山本さんがコンテに直接指定していたり、『乃木坂』1期最終回でも同様に1番と2番の切り替えでEDに突入するようコンテでタイミングを計っていたほどなので、この美しい流れも山本さんが指定したものだと思われます。

この合唱EDの映像での、順に一人ずつゲートをくぐってレアレアへと戻ってゆくシークエンスが、もう激涙もので、そこからそれぞれその後のレアレアでの生活の点描へと繋がってゆく、まさに「旅立ち」を象徴するものでもあります。

Jpt5201また中学の入学式で、元気いっぱいに振り向いてアルマと祐馬に手を振るあかりのカットが、1話の登校シーンとの対比も見事で、1話であかりが口にした望み(ハッキリ意思表示をしたい、祐馬と相思相愛になりたい)を自分の力で叶えたことを示してもいるのです。Jpt5214
もちろん、アルマの制服姿という大きなおともだちの琴線をも揺さぶる、ある意味サービスカット(笑)もグッド☆

ラストシーンとなる、ルビーと出会った海岸でジュエルチャームを手にして、ルビーに語りかけるあかりのカットによる、しんみりした、でもポジティブな余韻の作り方(浪打のSEがイイカンジ!)にも脱帽ですよ!

ところで、Aパート冒頭であかりの家族が、ハンガーに掛った新しい中学の制服を見て、あかりに想いを馳せるシーンがあるわけですが、このカットで最終回が「別れ」よりも「旅立ち」にウエイトが置かれていることを示唆していることが判ります。

と同時に、あかりの小学6年生という設定が、おそらく最終回に当然来るハズの「魔法学校の卒業」を、現実の「中学入学」とオーバーラップさせる意図を持って考えられていたのだと思うわけです。

なので、このハンガーに掛った制服のカットを見た瞬間、自分の迂闊さを恥じ、その周到さに声を挙げずにはおれませんでした。

Jpt5213また最終回の作監は、伊部由起子さんと宮川知子さんが直接担当しており、こうして練り込まれた脚本と演出を、よりブローアップさせる芝居となっておりました。

『てぃんくる☆』に携わられたスタッフ、キャストの皆さんにただただ拍手と感謝の気持ちを送りたい。そんなすてきな最終回でした。

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2011年4月 4日 (月)

『てぃんくる☆』最終回、合唱ver.。その打ち明け話[ツイッターまとめ&ちょっと修正]

昨日、『てぃんくる☆』最終回OP・EDについての推察エントリーを挙げたところ、音響監督の岩浪美和さんがその制作の“真実”(笑)をツイートして下さいました。
岩浪さんからOKを頂きましたので、まとめという形でブログにアップすることにしました。
(「とぅぎゃったー」とか使えばいいのかもしれないですが、自分と岩浪さんとのやりとりを自分でとぅぎゃるのもなんだか形悪い感じがするので・・・(^^;;)

まずお祭感溢れるOPの合唱ですが、

岩浪「僕が言いだしたのではないのです。「既にそう決まっているから」という感じ(笑)。とはいえ事前にレコード会社や役者さんの事務所にきちんと許諾をとってからやっています。みなさん楽しそうに歌ってらっしゃいましたよ」

岩浪さん発信でなかったのは意外でした(笑)。
どうやら岩浪さん=最終回では合唱というイメージがスタッフ内にはあるらしく、『TFA』も同じような流れで、最終回は合唱になったのだとかヽ(´ー`)ノ

岩浪「エンディングの3人合唱Verはシナリオやコンテの段階から決まっていた山本監督の演出です」
とのことで、シナリオ段階からEDテーマを「ミリアが作った歌」という劇中設定にして「あかりたちの卒業ソング」として用いようと考えられていたようです。

録音は本編のアフレコ後、OP→EDの順番で行なわれたそうで、

岩浪「アフレコはテストから高森(奈津美)さんも齋藤(彩夏)さんも涙々で みんなもらい泣きでした」
・・・ということは、録音のオーラスとなったEDでも泣いていたことは想像に難くなく、涙ながらに歌うあかりたちの作画の演技と、万感の想いを込めて唄う役者さん達の気持ちが完全に一体化したものといえるでしょう!

アフレコで使われた映像は、おそらく原撮とかL/O撮だったと思われるので(苦笑)、もしかしたらこの録音にあわせて、演出処理で泣きの演技をよりブローアップさせているのかも??とも思わずにはおれません。
・・・口パクのシートや形状は、完全に音にあわせてありますし、凄くありそうですよね!

と、美しい妄想(笑)を勝手に拡げましたが、岩浪さんから「コンテの段階から「泣きながら歌う3人」という指定がありました」とのご指摘がありました〜。

最後に岩浪さんは、次のように締めくくってくれました。

「作品を愛してくださった皆様への最後のプレゼントになればなによりです」
まさに、最高のプレゼントだったと思います!

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2011年4月 3日 (日)

『てぃんくる☆』最終回の大合唱OPが『TFA』や『ビーストウォーズ』だった件(笑)での参考:ちゃんとスタジオで普通に録音してたYO>『TFA』最終回OP☆

『てぃんくる☆』の最終回OP・EDが歌、映像とも異なるスペシャルバージョンだったことが、大いに話題になってます。
最終回らしいサプライズ要素でもあり、OPのキャスト全員(おそらく最終回に来た人たち)での合唱はグランプリ優勝の祝賀ムードとも合致した楽しさに溢れており、逆にEDは卒業式の感涙を思わせる、涙混じりの歌声(役者さんたちは歌っていて本当に涙してしまったのではと言う気がします)が見る側の感動度合いをより深めるものとなりました。
どちらも、単なる最終回サプライズ以上に、演出意図を強める効果を上げているわけです。

で、最終回OPの役者さんによる合唱というのは、音響監督の岩浪美和さんが割と好んで使うようでもあり、これまでだと岩浪さん担当の『トランスフォーマー』シリーズでの定番(?)みたいなところもあったりなかったり(笑)。

『てぃんくる☆』OPでの歌い方(特に男性陣)のハッチャケ具合も、ある種『トランスフォーマー』的で(笑)、隠し録り的にお遊びで唄ったものを使ったのでは?という憶測もあるようですが、おそらくそれは無いです。

自分は『トランスフォーマーアニメイテッド』(TFA)最終回のアフレコを見学させて頂いたのですが、『TFA』最終回OPの合唱も、本編同様にきちんとラステスを踏んだ上で本番に臨んでいました。
ハッチャケたノリは完全に音響監督ジャッジで、ラステス後「もっとふざけて良いよ」と岩浪さんが指示を出していたのを覚えています。

またOP部分の録音は本編が終わった後に引き続き行なわれ、その意味では「打ち上げ気分」で役者さんたちは歌っていました。
ちなみに『TFA』ではJamProを意識したパート分けを、ブースの中で役者さん達がその場で打ち合わせて唄っていましたよヽ(´ー`)ノ

もちろん、事前に各方面(特に音楽制作会社さん)に、通常の主題歌ではなく合唱にしたバージョンを使うという了解も得てのことです。

おそらく『てぃんくる☆』でも、それほど違わない作業プロセスを踏んでいるのではないかと思われます。
・・・多少誤解されている部分もあるようですが、つまりその場での思いつきやノリだけでは、こうしたことは出来ないわけです。
さらに『てぃんくる☆』最終回では作劇的な演出面とのマッチングも強いので、その仕込みも考えた時、このスペシャルOP・EDが本当に「スペシャル」なものだったことが分かるでしょう。

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山本天志さんが『ななついろ★ドロップス』の監督を引き受けたことは、女児アニメにとって重要な歴史的選択だった!

本日、『ジュエルペットてぃんくる☆』が感動的な最終回を迎えました。
自分は「完璧な最終回」にこだわる人間なのですが、『てぃんくる☆』52話はまさにその称号に相応しい内容だったと思います。
(ちゃんとしたインプレは、後日必ず……!)
そして、おそらく誰もが認める女児向けアニメの傑作名作と言えるでしょう。

ちょうど去年の今頃、『てぃんくる☆』が『ななついろ★ドロップス』のスタッフで作られると知り、大いに期待しました。
それはもちろん、『ななついろ』テイストの女児向けアニメへの期待だったわけで、第1話は期待したとおりのモノでした。
でもよくよく考えてみると、それは送り手受け手、双方に高いハードルを課すことでもあったと思うのです。

見る側は当然『ななついろ』と比較するし、送り手側も同じスタッフで臨む以上、『ななついろ』を超えたモノを送り出さなければイケナイ。
往々にして、こうした時のファンの反応は「やっぱり前作こそ至高ダナ」と身勝手な断罪を下すことが多いのですが、『てぃんくる☆』に関しては、そうした声をほとんど聴くことがありませんでした。
もちろん、自分も『ななついろ』をある意味で凌駕したと思います(それは、期待されたテイストをきちんとベースにしつつ、『てぃんくる☆』ならではのテーマ性を描き結末へとキッチリ、しかも1年の長丁場を掛けて導いたという点であって、どちらが優れているというようなことではありません、念のため)。

シリーズ構成の島田満さん、山本天志監督、キャラデの伊部由起子さんの見事なコンビネーションが、その高いハードルをクリアさせたのだと思います。
もしかすると、『てぃんくる☆』の企画を受けた時からある程度の手応えを持っていたのかもしれません。…なぜならアニメ版『ななついろ』後半(7話以降)は、ほとんど島田&天志コンビによるオリジナルと言って良いほど、原作ゲームのストーリーを換骨奪胎したものだったからです。
特にクライマックスの11話12話は、ぶっちゃけ原作と同じなのはすももが最後のしずくを取りにゆくことと石蕗が記憶を失うことくらいだったりします。
11話ラストの、1話と同じシチュを使った悲劇的なすももと石蕗の邂逅は、完全に島田さんの創作ですし、この回前半での幻想的なメリーゴーランドを使ったデートシーンも、山本天志さんのアイデアから生まれたシーンだったりするわけです(そのために山梨へロケハンしているほど)。

それだけのことをやりきったコンビが、実質的に完全オリジナルで物語を構築できるとなれば、単なる気概以上のものが生まれても不思議ではありませんよね。

また、島田さんは『ななついろ』で出会った山本天志さん&伊部由起子さんと『てぃんくる☆』を作ることが出来たと言われていました。
『ななついろ』での出逢いが、『てぃんくる☆』に直結しているのは間違いないところでしょう。

ところで、『ななついろ』のライナーでのインタビューにもありますが(久々に見直したら、編集の段階で自分でカットしてました(^^;; スミマセン)、山本さんは当初アニメ仮面氏から『ななついろ』ともう一つ別の作品のどちらかを…という形でオファーが来ていたそうです。
そこで原作を見て『ななついろ』を選んだということなのですが、もしそこでもう一つの作品を選んでいたとしたら──『てぃんくる☆』は無かったかもしれません!

つまりこの選択が、女児アニメ史に大きく影響を与えたわけです。…しかも、影響を与えた選択は、ジャンル的には女児アニメではなく深夜の萌えアニメ(しかもエロゲー原作!)という辺りが、もの凄くドラマチックにしてバタフライ効果的(笑)な面白さもあるワケです。

これこそまさに「その時、歴史は動いた!」(笑)。

『てぃんくる☆』がかなり女児アニメファンに受け入れられたことで、『ななついろ』がそのルーツとして再評価されつつあるようですが、こうした「偶然の奇跡」から始まったと思うと、なんとも感慨深いものがあると思いませんか?

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