一週間経ってもなかなか言葉を紡ぐのが、やっぱり難しい!それほどまでに素晴らしかった『てぃんくる☆』最終回☆…といいつつ、もの凄く長文デスが(^^;;
先週、とうとう『てぃんくる☆』が最終回を迎えてしまいました。
51話で、ジュエルスターグランプリ、バッデスト、アルマとフェアリーナの問題など、シリーズの軸となっていたストーリーは一通りの解決をみせ、最終回はまるまる1エピソード、エピローグにした内容です。
ちなみに、コンテが宮崎なぎささんで演出処理が山本天志監督自ら、という布陣は『ななついろ』の最終回と同じだったりするんですね〜。これが。
アバン〜OPは前回のラストを受けた、グランプリの授賞式の模様が、お祭気分たっぷりのキャストの皆さん一同によるOPテーマの合唱とともに描かれてゆきます。
これだけで、充分に最終回の感銘を受ける映像だったりするわけです。
また数カット普段のOPと同じカットが挿入されていて、そこのバランスがまた巧い!ラストカットも通常通りなので、OPとしてもきちんと機能させている配慮が、実に心憎いです。
そんな「最初からクライマックス」(笑)で始まる最終回は、あかりたちが魔法学校を卒業する前後のレアレアとジュエルランドでの日常を思い入れたっぷりに描いてゆきます。
とはいえ、全編切ない雰囲気になりすぎないように、あかりが三つの願いをルビーやラブラと話し合うシーンでは、コミカルさを押して「お願い」そのものへのワクワク感もみせているところがミソ。
特に祐馬との結婚式妄想と、それをルビーとラブラに囃したてられて布団に縮こまってしまうシークエンスは面はゆさ炸裂ながらも抱腹絶倒(笑)。
そこを受けての体育館での祐馬との会話では、去り際に「あかり」と初めて呼び捨てにすることで(照れた目線にあわせて口にする芝居も見事!)本作のもう一つの軸であった二人の淡い恋愛にも、さりげなく大きな進歩があったことを印象づけます。
小学生のピュアな恋(プラトニックよりも遙かに!)ということを鑑みると、この会話はほとんどキスシーン並みのインパクト!──ここでバレンタイン回でもチョコを渡すシーンで使った、少女マンガ的なキラキラ効果セルが、「ゴールイン」感を高めています。
そして、またもギャグ顔でメロメロになってしまうあかりが、これまたかわいくて愉快です♪
その一方で出色なのが、ミリアや沙羅、レオン、ニコラたちとジュエルランドの上空をぐるりと飛ぶシーンでしょう。
上空を飛ぶというシチュエーション自体も、実は1話で初めてあかりがジュエルランドを訪れた時に使ったものでもあり、ある種の呼応とも言えるのですが、今回は親しくなった友人たちと色々なおしゃべりをしながらという違い、ミリアや沙羅の変化や成長ぶりを改めて示すダイアログと、そのにこやかで希望に溢れた表情芝居など、別離間近の寂しさと未来へのステップという、まさに卒業式ならではの独特な二律背反的な空気を見事に創りだしています。
呼応という点でいけば、最終回の「卒業式」も、1話で「始業式」や「入学」というキーワードと見事に対を為していますし、沙羅の淋しそうな「魔法の時間はもうお終い」という台詞も予告の決め台詞(当然52話にはない!)を意識していると思われ、そこもまたニヤリとさせられます。
そして、あかりの「別れずに留まっていたい」という想いが一気に爆発する橋の上でのルビーとのやりとりから(揺れる気持ちを強調する、川面に映る二人のインサートカットが効果的!)、そんなあかりに優しく語りかけるアルマという構図が、これまたとてもハマっていて、アルマが4人目のヒロインであったことを痛感させるものとなっています。
そこに7話での千夜一夜草を持ってくる辺りは、もう反則過ぎ!
周囲を舞う花びらや、ルビーの涙で開花する千夜一夜草、そしてルビーを抱き寄せるあかりと、心温まる雰囲気を醸し出しつつ二人の絆を強くみせる名場面となっています!
そして「三つの願い」をどうするか、あかりが決めたところでなんと驚愕の2度目のアイキャッチですよ!!
・・・EDをいわゆる本編ブチ抜きにするために後CM枠を前倒すフォーマット変更にも仰天。
聴いた話によれば、放送局は最終回だからといってフォーマットを変更するのは原則的に嫌らしいので、OPやEDも含めたフォーマットに対する手の込んだ仕込みも、最終回のこだわり部分と言って良いでしょう。
その、あかりの「三つの願い」ですが、実は「願い」というよりもルビーや友人たちへの「感謝」に近く、さらに最後の願いは「応援してくれたおともだち」へのメッセージとも受け取れる内容となっているところが大きなポイント。
ここから被るEDも1番が終わったところで形としては本編終了、2番から合唱バージョンに切り替わる巧みな演出となっています。
『ななついろ』最終回でも「コイスル☆フローライト」の被るタイミングを山本さんがコンテに直接指定していたり、『乃木坂』1期最終回でも同様に1番と2番の切り替えでEDに突入するようコンテでタイミングを計っていたほどなので、この美しい流れも山本さんが指定したものだと思われます。
この合唱EDの映像での、順に一人ずつゲートをくぐってレアレアへと戻ってゆくシークエンスが、もう激涙もので、そこからそれぞれその後のレアレアでの生活の点描へと繋がってゆく、まさに「旅立ち」を象徴するものでもあります。
また中学の入学式で、元気いっぱいに振り向いてアルマと祐馬に手を振るあかりのカットが、1話の登校シーンとの対比も見事で、1話であかりが口にした望み(ハッキリ意思表示をしたい、祐馬と相思相愛になりたい)を自分の力で叶えたことを示してもいるのです。
もちろん、アルマの制服姿という大きなおともだちの琴線をも揺さぶる、ある意味サービスカット(笑)もグッド☆
ラストシーンとなる、ルビーと出会った海岸でジュエルチャームを手にして、ルビーに語りかけるあかりのカットによる、しんみりした、でもポジティブな余韻の作り方(浪打のSEがイイカンジ!)にも脱帽ですよ!
ところで、Aパート冒頭であかりの家族が、ハンガーに掛った新しい中学の制服を見て、あかりに想いを馳せるシーンがあるわけですが、このカットで最終回が「別れ」よりも「旅立ち」にウエイトが置かれていることを示唆していることが判ります。
と同時に、あかりの小学6年生という設定が、おそらく最終回に当然来るハズの「魔法学校の卒業」を、現実の「中学入学」とオーバーラップさせる意図を持って考えられていたのだと思うわけです。
なので、このハンガーに掛った制服のカットを見た瞬間、自分の迂闊さを恥じ、その周到さに声を挙げずにはおれませんでした。
また最終回の作監は、伊部由起子さんと宮川知子さんが直接担当しており、こうして練り込まれた脚本と演出を、よりブローアップさせる芝居となっておりました。
『てぃんくる☆』に携わられたスタッフ、キャストの皆さんにただただ拍手と感謝の気持ちを送りたい。そんなすてきな最終回でした。
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