「プリキュアにちからを〜〜!」TVのネタバレOP期間(笑)も終了したところで、ある意味では今さら感サクレツですが(苦笑)劇場版スイプリ、インプレッションです〜。
もう年末ですが、11月末に二度目の劇場版『スイプリ』を見てきました。
ご存じの通り、今回の映画は「プリキュア」映画としては初めて、キッチリ本編とリンクした内容になっていて、公式には36話と37話の間のストーリーとされていますが、37話とこの劇場版のどちらを先に観てもあまり問題ないように工夫もされています。
例えば、アコがメイジャーランドへ帰る云々のやりとりやエレンに対してアコが「姫様はやめて」と言ったり、改めてアコがミューズとして戦い続ける決意をするくだりなど、37話と敢えて重複したシチュエーションが盛り込まれています。
…が、流石に11月末ではちょっとちぐはぐなカンジもありますが、厳密に時制を合せているわけでもないので、極端に違和感があるほどでもありません。
また映画のメインテーマになっている、アコとメフィストの親子の絆も、メフィスト自身が改心後TV本編では現状まだたいした活躍をしていないので(そこもシリーズ構成的に考えられていると思われますが)、最大の見どころであるメフィストの家族への想いは、この映画でしか観ることが出来ない点もミソ。
本編とのリンクという点でいけば、ひまわり畑の中を幼いアコを肩車して楽しく進むメフィストという、36話でも出てきた幼い頃のアコ姫がひまわりのカチューシャをしていた意味を絵解きする感じのシーンもあって、そこもニヤリですね。
その改組磯シーンにも象徴されるように、作劇的には父子の関係性を浮き彫りにしているだけあって、誤解を恐れずに言えば、この映画の真の主役はメフィストと言っても良いでしょう。
…重たい言い方をするならば、メフィストの贖罪を描く話になっているので。
もっとも、メフィストが基本三枚目キャラなので、適度にコミカルなので、全体としてはシビアな感じはないですけれど。
ただそれだけに、要所要所で見せる格好いい演技(堀内賢雄氏のイケメン声と眼光鋭い表情芝居の両方)が、ギャグキャラ芝居とのシームレスな流れも相まって、グンと引き立っています♪
例えば、メイジャーランドに響たちとやって来たシーンで、鍵盤の道が突然消え去った時に、咄嗟にアコを抱えて庇うように落下する父親らしさと、着地失敗の上に、響たちにクッション代わりにされてしまうかっこ悪さ(それでもアコは離さずにいるところが、さりげなくイカしてる!)。
あるいは、ドラマ面でのクライマックスといえる、囚われたアコの前で必死に歌を歌い続ける健気な姿──ダブラしでメフィストの心が幽体離脱するかのような画にして、「心で歌う」姿を表現する演出も憎い!
また、アフロディテに剣を向けられない苦渋の表情や、その後のハウリングを引きはがす一か八かの策として、王宮から彼女とともにダイブするシーンでの、鬼気迫る駆け引きの台詞なども胸を打ちます。
そんな真摯な姿に、ちょっとアコが父親としてメフィストを見直すというストーリーの構造なので、一緒に観ている親御さんたち(特にパパさん)は、「思ったよりもいい話だったね」という以上に、もっとダイレクトにメフィストに感情移入できるのはないかと思います。
プリキュアはキッズ向けではありますが、親子揃っての鑑賞が最も多いと思うので、メフィストを裏主役にしたのは大正解だったのではないでしょうか。
一方、本来の主役である響・奏・エレンの活躍も当然あります。
監督の池田洋子さんは、アコ-メフィストと同時に、本作の基本ラインである響-奏の関係性も意識していたとのことですが、そこをアピールするように前半の森の中でのコミカル気味なバトルでは、メロディとリズム、エレンとハミィに別れる形で展開して行きます。ここでの、二人が無理矢理ベルティエを出そうと悪戦苦闘する辺りの漫才感がもう最高☆
さらにクライマックスのハウリングとの戦いで危機に陥り、クレッシェンドキュアメロディに変身する前後は、メロディとリズムにフォーカスした見せ方になっているのもポイント。
ハウリングの右手に掴まれて動けないリズムを救うために、単身立ち向かおうとするメロディ。そのリズムごとメロディを殴り潰そうとするハウリングに、悲痛な叫びを上げるリズム。その刹那、クレッシェンドverになったメロディがリズムを救い出し、その手を取ってふんわり着地すると展開や画面の構図は、完全にメロディ=王子様・リズム=お姫様のそれ!
意図していたかは分かりませんが、その意味では宝塚的でもあります。
その上でハウリングを圧倒させるいわば必殺技として、メロディとリズムでのクレッシェンドverのパッショナートハーモニーなのですよ!!
最終的には4人のスイートセッションアンサンブルで打ち倒すわけですが、そこはミューズが4人でプリキュアだと意識する流れもあるので、やむなしというよりは妥当なところだと感じました。
で、本作はTV本編と完全にリンクしていると言うことは、逆にこの流れを受けて、最終回ではリズムもクレッシェンドverになって、パーフェクト版のパッショナートハーモニー・クレッシェンドを見せてくれる可能性もあるわけですねヽ(´ー`)ノ
さてさて、ここまで来て今回の映画のメインゲストであるスズに全く触れていないのですが(笑)、正直な話、メインゲストとしての印象は薄いです(^^;;
本編呎(前説や二段構えEDも込みで)70分前後という制約ゆえ、おそらく脚本段階でなくなく掘り下げることを諦めたのではないかと考えられます。
…もし後20分呎があれば、スズとアコの関係が描かれたのではないでしょうか。
なのでかなり状況説明キャラという部分は否めないのですが、その結果としてドラマをアコとメフィストに集中させることにもなっています。
ただスズとアコが友情の証として持っているペンダントを、ミラクルライトーンのトップとデザインを合わせていて、彼女がプリキュア達の戦いを見てそれを握りしめ応援する気持ちを込めるという流れにして、ライトーンの登場に説得力を与えている点は見逃せません。
そういった具合で、下手に話が散漫になるよりは、このバランスで正解だったという印象の方が強いですね。
細かい点では、冒頭の加音町でのBGMの付いていないカットでは、街の喧噪感として楽器のチューニング音を乗せることで、音楽の街の印象や、音楽を奪われた後の異常感を演出する形にしている辺りがゲイコマ。
同じように、音楽を失ったメイジャーランドでは虚ろな静寂感を出すために、無音にするのではなく乾いた風の音ややけに響く靴音など、巧みにSEを利用してもいます。
という具合で、トータルとしては良い意味で軽めにしてアクションもふんだんな内容で、それでいてドラマとしての見応えもちゃんとある仕上がりでした☆
が、不満が一つ。
本編EDが実質1ハーフ程度なので、エンドテロップのスクロールが速い速い!
原画マンを追い切れないよ!!www
ちなみに、コンテが複数の演出家で分け合っているのは事前に知っていましたが、演出処理も山口裕司さんと廣嶋秀樹さんが入っていたとは!
作監補での宮本絵美子さんの参画は想定内でしたが、青山充さんも作監補だったことに、超ビックリ!…森でのシーンが青山さんの作監パートではないかしらん?
ところで、1回目に観た時、多くの子供たちがニャンバイザーをハミィ側にして被っていたのも印象深かったです。
ハミィをプッシュしてきたマーチャン展開や、それを後押しする愉快なキャラ付けが大成功している証だなぁと思ったり♪
…火曜日に観た時には、在庫が無くなってしまったのか、バイザーは配布していなかったようでした。
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