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2011年4月 8日 (金)

一週間経ってもなかなか言葉を紡ぐのが、やっぱり難しい!それほどまでに素晴らしかった『てぃんくる☆』最終回☆…といいつつ、もの凄く長文デスが(^^;;

先週、とうとう『てぃんくる☆』が最終回を迎えてしまいました。
51話で、ジュエルスターグランプリ、バッデスト、アルマとフェアリーナの問題など、シリーズの軸となっていたストーリーは一通りの解決をみせ、最終回はまるまる1エピソード、エピローグにした内容です。

ちなみに、コンテが宮崎なぎささんで演出処理が山本天志監督自ら、という布陣は『ななついろ』の最終回と同じだったりするんですね〜。これが。

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アバン〜OPは前回のラストを受けた、グランプリの授賞式の模様が、お祭気分たっぷりのキャストの皆さん一同によるOPテーマの合唱とともに描かれてゆきます。
これだけで、充分に最終回の感銘を受ける映像だったりするわけです。
また数カット普段のOPと同じカットが挿入されていて、そこのバランスがまた巧い!ラストカットも通常通りなので、OPとしてもきちんと機能させている配慮が、実に心憎いです。

そんな「最初からクライマックス」(笑)で始まる最終回は、あかりたちが魔法学校を卒業する前後のレアレアとジュエルランドでの日常を思い入れたっぷりに描いてゆきます。

Jpt5211とはいえ、全編切ない雰囲気になりすぎないように、あかりが三つの願いをルビーやラブラと話し合うシーンでは、コミカルさを押して「お願い」そのものへのワクワク感もみせているところがミソ。
特に祐馬との結婚式妄想と、それをルビーとラブラに囃したてられて布団に縮こまってしまうシークエンスは面はゆさ炸裂ながらも抱腹絶倒(笑)。Jpt5210

そこを受けての体育館での祐馬との会話では、去り際に「あかり」と初めて呼び捨てにすることで(照れた目線にあわせて口にする芝居も見事!)本作のもう一つの軸であった二人の淡い恋愛にも、さりげなく大きな進歩があったことを印象づけます。Jpot5212
小学生のピュアな恋(プラトニックよりも遙かに!)ということを鑑みると、この会話はほとんどキスシーン並みのインパクト!──ここでバレンタイン回でもチョコを渡すシーンで使った、少女マンガ的なキラキラ効果セルが、「ゴールイン」感を高めています。
そして、またもギャグ顔でメロメロになってしまうあかりが、これまたかわいくて愉快です♪

その一方で出色なのが、ミリアや沙羅、レオン、ニコラたちとジュエルランドの上空をぐるりと飛ぶシーンでしょう。
Jpt5209上空を飛ぶというシチュエーション自体も、実は1話で初めてあかりがジュエルランドを訪れた時に使ったものでもあり、ある種の呼応とも言えるのですが、今回は親しくなった友人たちと色々なおしゃべりをしながらという違い、ミリアや沙羅の変化や成長ぶりを改めて示すダイアログと、そのにこやかで希望に溢れた表情芝居など、別離間近の寂しさと未来へのステップという、まさに卒業式ならではの独特な二律背反的な空気を見事に創りだしています。

呼応という点でいけば、最終回の「卒業式」も、1話で「始業式」や「入学」というキーワードと見事に対を為していますし、沙羅の淋しそうな「魔法の時間はもうお終い」という台詞も予告の決め台詞(当然52話にはない!)を意識していると思われ、そこもまたニヤリとさせられます。

Jpt5208そして、あかりの「別れずに留まっていたい」という想いが一気に爆発する橋の上でのルビーとのやりとりから(揺れる気持ちを強調する、川面に映る二人のインサートカットが効果的!)、そんなあかりに優しく語りかけるアルマという構図が、これまたとてもハマっていて、アルマが4人目のヒロインであったことを痛感させるものとなっています。

Jpt5206そこに7話での千夜一夜草を持ってくる辺りは、もう反則過ぎ!
周囲を舞う花びらや、ルビーの涙で開花する千夜一夜草、そしてルビーを抱き寄せるあかりと、心温まる雰囲気を醸し出しつつ二人の絆を強くみせる名場面となっています!

そして「三つの願い」をどうするか、あかりが決めたところでなんと驚愕の2度目のアイキャッチですよ!!
・・・EDをいわゆる本編ブチ抜きにするために後CM枠を前倒すフォーマット変更にも仰天。
聴いた話によれば、放送局は最終回だからといってフォーマットを変更するのは原則的に嫌らしいので、OPやEDも含めたフォーマットに対する手の込んだ仕込みも、最終回のこだわり部分と言って良いでしょう。

Jpt5205その、あかりの「三つの願い」ですが、実は「願い」というよりもルビーや友人たちへの「感謝」に近く、さらに最後の願いは「応援してくれたおともだち」へのメッセージとも受け取れる内容となっているところが大きなポイント。
ここから被るEDも1番が終わったところで形としては本編終了、2番から合唱バージョンに切り替わる巧みな演出となっています。
『ななついろ』最終回でも「コイスル☆フローライト」の被るタイミングを山本さんがコンテに直接指定していたり、『乃木坂』1期最終回でも同様に1番と2番の切り替えでEDに突入するようコンテでタイミングを計っていたほどなので、この美しい流れも山本さんが指定したものだと思われます。

この合唱EDの映像での、順に一人ずつゲートをくぐってレアレアへと戻ってゆくシークエンスが、もう激涙もので、そこからそれぞれその後のレアレアでの生活の点描へと繋がってゆく、まさに「旅立ち」を象徴するものでもあります。

Jpt5201また中学の入学式で、元気いっぱいに振り向いてアルマと祐馬に手を振るあかりのカットが、1話の登校シーンとの対比も見事で、1話であかりが口にした望み(ハッキリ意思表示をしたい、祐馬と相思相愛になりたい)を自分の力で叶えたことを示してもいるのです。Jpt5214
もちろん、アルマの制服姿という大きなおともだちの琴線をも揺さぶる、ある意味サービスカット(笑)もグッド☆

ラストシーンとなる、ルビーと出会った海岸でジュエルチャームを手にして、ルビーに語りかけるあかりのカットによる、しんみりした、でもポジティブな余韻の作り方(浪打のSEがイイカンジ!)にも脱帽ですよ!

ところで、Aパート冒頭であかりの家族が、ハンガーに掛った新しい中学の制服を見て、あかりに想いを馳せるシーンがあるわけですが、このカットで最終回が「別れ」よりも「旅立ち」にウエイトが置かれていることを示唆していることが判ります。

と同時に、あかりの小学6年生という設定が、おそらく最終回に当然来るハズの「魔法学校の卒業」を、現実の「中学入学」とオーバーラップさせる意図を持って考えられていたのだと思うわけです。

なので、このハンガーに掛った制服のカットを見た瞬間、自分の迂闊さを恥じ、その周到さに声を挙げずにはおれませんでした。

Jpt5213また最終回の作監は、伊部由起子さんと宮川知子さんが直接担当しており、こうして練り込まれた脚本と演出を、よりブローアップさせる芝居となっておりました。

『てぃんくる☆』に携わられたスタッフ、キャストの皆さんにただただ拍手と感謝の気持ちを送りたい。そんなすてきな最終回でした。

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2011年4月 4日 (月)

『てぃんくる☆』最終回、合唱ver.。その打ち明け話[ツイッターまとめ&ちょっと修正]

昨日、『てぃんくる☆』最終回OP・EDについての推察エントリーを挙げたところ、音響監督の岩浪美和さんがその制作の“真実”(笑)をツイートして下さいました。
岩浪さんからOKを頂きましたので、まとめという形でブログにアップすることにしました。
(「とぅぎゃったー」とか使えばいいのかもしれないですが、自分と岩浪さんとのやりとりを自分でとぅぎゃるのもなんだか形悪い感じがするので・・・(^^;;)

まずお祭感溢れるOPの合唱ですが、

岩浪「僕が言いだしたのではないのです。「既にそう決まっているから」という感じ(笑)。とはいえ事前にレコード会社や役者さんの事務所にきちんと許諾をとってからやっています。みなさん楽しそうに歌ってらっしゃいましたよ」

岩浪さん発信でなかったのは意外でした(笑)。
どうやら岩浪さん=最終回では合唱というイメージがスタッフ内にはあるらしく、『TFA』も同じような流れで、最終回は合唱になったのだとかヽ(´ー`)ノ

岩浪「エンディングの3人合唱Verはシナリオやコンテの段階から決まっていた山本監督の演出です」
とのことで、シナリオ段階からEDテーマを「ミリアが作った歌」という劇中設定にして「あかりたちの卒業ソング」として用いようと考えられていたようです。

録音は本編のアフレコ後、OP→EDの順番で行なわれたそうで、

岩浪「アフレコはテストから高森(奈津美)さんも齋藤(彩夏)さんも涙々で みんなもらい泣きでした」
・・・ということは、録音のオーラスとなったEDでも泣いていたことは想像に難くなく、涙ながらに歌うあかりたちの作画の演技と、万感の想いを込めて唄う役者さん達の気持ちが完全に一体化したものといえるでしょう!

アフレコで使われた映像は、おそらく原撮とかL/O撮だったと思われるので(苦笑)、もしかしたらこの録音にあわせて、演出処理で泣きの演技をよりブローアップさせているのかも??とも思わずにはおれません。
・・・口パクのシートや形状は、完全に音にあわせてありますし、凄くありそうですよね!

と、美しい妄想(笑)を勝手に拡げましたが、岩浪さんから「コンテの段階から「泣きながら歌う3人」という指定がありました」とのご指摘がありました〜。

最後に岩浪さんは、次のように締めくくってくれました。

「作品を愛してくださった皆様への最後のプレゼントになればなによりです」
まさに、最高のプレゼントだったと思います!

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2011年4月 3日 (日)

『てぃんくる☆』最終回の大合唱OPが『TFA』や『ビーストウォーズ』だった件(笑)での参考:ちゃんとスタジオで普通に録音してたYO>『TFA』最終回OP☆

『てぃんくる☆』の最終回OP・EDが歌、映像とも異なるスペシャルバージョンだったことが、大いに話題になってます。
最終回らしいサプライズ要素でもあり、OPのキャスト全員(おそらく最終回に来た人たち)での合唱はグランプリ優勝の祝賀ムードとも合致した楽しさに溢れており、逆にEDは卒業式の感涙を思わせる、涙混じりの歌声(役者さんたちは歌っていて本当に涙してしまったのではと言う気がします)が見る側の感動度合いをより深めるものとなりました。
どちらも、単なる最終回サプライズ以上に、演出意図を強める効果を上げているわけです。

で、最終回OPの役者さんによる合唱というのは、音響監督の岩浪美和さんが割と好んで使うようでもあり、これまでだと岩浪さん担当の『トランスフォーマー』シリーズでの定番(?)みたいなところもあったりなかったり(笑)。

『てぃんくる☆』OPでの歌い方(特に男性陣)のハッチャケ具合も、ある種『トランスフォーマー』的で(笑)、隠し録り的にお遊びで唄ったものを使ったのでは?という憶測もあるようですが、おそらくそれは無いです。

自分は『トランスフォーマーアニメイテッド』(TFA)最終回のアフレコを見学させて頂いたのですが、『TFA』最終回OPの合唱も、本編同様にきちんとラステスを踏んだ上で本番に臨んでいました。
ハッチャケたノリは完全に音響監督ジャッジで、ラステス後「もっとふざけて良いよ」と岩浪さんが指示を出していたのを覚えています。

またOP部分の録音は本編が終わった後に引き続き行なわれ、その意味では「打ち上げ気分」で役者さんたちは歌っていました。
ちなみに『TFA』ではJamProを意識したパート分けを、ブースの中で役者さん達がその場で打ち合わせて唄っていましたよヽ(´ー`)ノ

もちろん、事前に各方面(特に音楽制作会社さん)に、通常の主題歌ではなく合唱にしたバージョンを使うという了解も得てのことです。

おそらく『てぃんくる☆』でも、それほど違わない作業プロセスを踏んでいるのではないかと思われます。
・・・多少誤解されている部分もあるようですが、つまりその場での思いつきやノリだけでは、こうしたことは出来ないわけです。
さらに『てぃんくる☆』最終回では作劇的な演出面とのマッチングも強いので、その仕込みも考えた時、このスペシャルOP・EDが本当に「スペシャル」なものだったことが分かるでしょう。

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山本天志さんが『ななついろ★ドロップス』の監督を引き受けたことは、女児アニメにとって重要な歴史的選択だった!

本日、『ジュエルペットてぃんくる☆』が感動的な最終回を迎えました。
自分は「完璧な最終回」にこだわる人間なのですが、『てぃんくる☆』52話はまさにその称号に相応しい内容だったと思います。
(ちゃんとしたインプレは、後日必ず……!)
そして、おそらく誰もが認める女児向けアニメの傑作名作と言えるでしょう。

ちょうど去年の今頃、『てぃんくる☆』が『ななついろ★ドロップス』のスタッフで作られると知り、大いに期待しました。
それはもちろん、『ななついろ』テイストの女児向けアニメへの期待だったわけで、第1話は期待したとおりのモノでした。
でもよくよく考えてみると、それは送り手受け手、双方に高いハードルを課すことでもあったと思うのです。

見る側は当然『ななついろ』と比較するし、送り手側も同じスタッフで臨む以上、『ななついろ』を超えたモノを送り出さなければイケナイ。
往々にして、こうした時のファンの反応は「やっぱり前作こそ至高ダナ」と身勝手な断罪を下すことが多いのですが、『てぃんくる☆』に関しては、そうした声をほとんど聴くことがありませんでした。
もちろん、自分も『ななついろ』をある意味で凌駕したと思います(それは、期待されたテイストをきちんとベースにしつつ、『てぃんくる☆』ならではのテーマ性を描き結末へとキッチリ、しかも1年の長丁場を掛けて導いたという点であって、どちらが優れているというようなことではありません、念のため)。

シリーズ構成の島田満さん、山本天志監督、キャラデの伊部由起子さんの見事なコンビネーションが、その高いハードルをクリアさせたのだと思います。
もしかすると、『てぃんくる☆』の企画を受けた時からある程度の手応えを持っていたのかもしれません。…なぜならアニメ版『ななついろ』後半(7話以降)は、ほとんど島田&天志コンビによるオリジナルと言って良いほど、原作ゲームのストーリーを換骨奪胎したものだったからです。
特にクライマックスの11話12話は、ぶっちゃけ原作と同じなのはすももが最後のしずくを取りにゆくことと石蕗が記憶を失うことくらいだったりします。
11話ラストの、1話と同じシチュを使った悲劇的なすももと石蕗の邂逅は、完全に島田さんの創作ですし、この回前半での幻想的なメリーゴーランドを使ったデートシーンも、山本天志さんのアイデアから生まれたシーンだったりするわけです(そのために山梨へロケハンしているほど)。

それだけのことをやりきったコンビが、実質的に完全オリジナルで物語を構築できるとなれば、単なる気概以上のものが生まれても不思議ではありませんよね。

また、島田さんは『ななついろ』で出会った山本天志さん&伊部由起子さんと『てぃんくる☆』を作ることが出来たと言われていました。
『ななついろ』での出逢いが、『てぃんくる☆』に直結しているのは間違いないところでしょう。

ところで、『ななついろ』のライナーでのインタビューにもありますが(久々に見直したら、編集の段階で自分でカットしてました(^^;; スミマセン)、山本さんは当初アニメ仮面氏から『ななついろ』ともう一つ別の作品のどちらかを…という形でオファーが来ていたそうです。
そこで原作を見て『ななついろ』を選んだということなのですが、もしそこでもう一つの作品を選んでいたとしたら──『てぃんくる☆』は無かったかもしれません!

つまりこの選択が、女児アニメ史に大きく影響を与えたわけです。…しかも、影響を与えた選択は、ジャンル的には女児アニメではなく深夜の萌えアニメ(しかもエロゲー原作!)という辺りが、もの凄くドラマチックにしてバタフライ効果的(笑)な面白さもあるワケです。

これこそまさに「その時、歴史は動いた!」(笑)。

『てぃんくる☆』がかなり女児アニメファンに受け入れられたことで、『ななついろ』がそのルーツとして再評価されつつあるようですが、こうした「偶然の奇跡」から始まったと思うと、なんとも感慨深いものがあると思いませんか?

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