「東映デジタルセンターOPEN記念セミナー」2日目の『プリキュアオールスターDX2』EDダンスムービーメイキング講演、超絶詳細レポその3(最後もやっぱり画像はないデス。ゴメンチャイ)
ああ、こんなつもりではなかったんですけど(苦笑)、結局3回わけになってしまいました>「東映デジタルセンターOPEN記念セミナー」2日目のレポ。
まぁ、ぶっちゃけ個人ブログですから自己満足で良いんですけどね(爆)。
さてさて、宮原さんのモデリングとアニメート作業関連の説明が終わったとコトで、今回のコンポジット(合成処理:アニメの作業工程だと撮影・特効に相当)に関して、中沢氏が解説してくれました。
各キャラクターモデルに対してのレイヤーとマスクは、カラー(着彩レイヤー)ライン(トレス線)シェードマスク(影レイヤー)ライトマスク(ハイライト関係のレイヤー)の4種類。
これに、お肌ピチピチレイヤー(化粧系レイヤー)を加えた都合5種類から構成されてます。
見ての通り、ダンスCGのキャラクターモデルは(フレプリEDに関しての梅澤Pの言葉を借りれば「敢えてCGぽくするために」)通常のトゥーンシェード(いわゆるアニメ絵塗りの陰影)ではなくグラデ処理がかけられていることが特徴となっています。
スクリーンでは各レイヤーやマスクごとの素材画像も示され、ちょっとCG塗りハウツー本的な雰囲気も漂ったり(笑)。
ただサンプルで表示されたブロッサムのシェードマスクを見て驚いたのが、服や髪の毛に対してだけマスクが作られていて、肌部分にはマスク(影指定)が無かった点です。
つまり肌に落ちている影に関しては照明効果を使ったライティングの影によるものということで、おそらく基本状態でも影を入れると乗算効果で汚く見えてしまうための配慮ではないかと思われます。
また、アニメ顔の造作に対して正しく影を落とすと、頬の下半分すべてに影が出来てしまう(『きらレボ』3rd.Stage初期のキャラモデルような不自然な陰影が出来てしまう)ので、それを避けるためにも、特に顔周りのシェードマスクはナシにしているのではないでしょうか。
この辺の工夫も、キャラを可愛く見せる拘りの技のように感じました。
そしてコンポジット作業の説明がなされたのですが、「現実のライブコンサート映像を参考にリアルな映像をめずと言うことで、実際の照明オペレーション同様に(光源の)色・強さを柔軟にコントロール出来るシステムを構築」[中沢]したそうです。
コンポジットソフトは先ほども書きましたがAfterEffectが使われおり、今回は現実のライブコンサートさながらの舞台効果を加えることの出来るプラグインを開発したわけなのデス。
スクリーンで示されたさまざまな効果サンプルでは、ステージバックの「Pretty Cure」のネオンサインだけ発光させたり、任意の場所に自由な色彩と光量のカクテルスポットやピンスポットを照らしたり、フォグ効果やグロー効果を加えたりと言った、さまざまなパターンが示されました。
また、客席位置やステージ位置に仮想のライトポイントが配置されており、操作はそのポイントに対して行うという形になっているようです。
まさに舞台演出を実現させるものなのです。
マジですごいプラグインですよ!
こうしてコンポジットされた素材を最終的にレンダリング(書き出し)してムービー素材とするわけなのですが、その効率を上げるため「プロジェクターレンダーツール」というソフトも構築。
膨大なデータを必要なシーンごとにレンダー(レンダリング用コンピュータ)へ、的確かつ能率的に送出することが出来るそうです。このツールにより、レンダリングのための準備作業が大幅に軽減されたと言われていました。
なお、当然利用されたレンダーはネットワーク型の分散レンダーとなっています。レンダリングの使用ハードはWindows機(64bitと32bit混在。ただしデータ処理的に64bit機が大きく貢献したとのこと)4コア×30機、合計120コア!
フル稼動はしなかったそうですが、このマシンスペックで約4日間で今回のEDムービーのレンダリングが可能だとか!ビバ、マシンパワー!(笑)
……この辺りは、以前山内重保さんから伺った、映画『も〜っと!どれみ』での大気流を飛行するシーンでの背景CGを組み上げるのに、社内だけではまかなえず海外のサーバまでフル動員しての大作業だったという話とは、隔世の差がありますヨ。
また今村Pの発言からすると、特典版、劇場公開版、CD特典版の3バージョンは、それぞれ別個にレンダリングされて作られたもののようです。加えて、場面カット的に出たスチール素材(劇場公開時に販売されたポストカードセットに使用された素材と思われます)も、どうやらいわゆる切りだしカットではなく、そのために作成したものだったらしいです。
一通りメイキング解説が終わった後に、MCの方から特に大変だったことについての質問がありました。
これに対して、3人とも「パンチラ対策」を挙げました(笑)。
大塚さんからの意見で、変に見せないようにということがあったのですが、基本的に3-D CGは嘘がつけないのでアングル的にはどうしてもごまかせないカットが出てしまうわけです。またステージを綺麗に見せるため床面なども光沢感を高くしているため、映り込みもそうした対象になってしまったとか。
そこに対して、1フレームごとにやばそうなところを潰していったとのことで、実質的にアニメーションチェックが1プロセス入ってしまったことが大変だったと言われていました。
「探そうと思っても多分(パンチラは)絶対見つからないと思いますので、探さないで下さい(笑)」[宮原]
こうして制作プロセスを展望したときに思ったのが、このダンスEDは「ドミノ倒し」のようだと言うことでした。
緻密なポストプロダクション作業は、まるでドミノを丹念に並べるかのようであり、そして軽快なダンスシーンの間を派手なギミックアクションの見せ場でつないでゆく爽快な構成は、スピード感あるドミノラインとその合間に設けられたイベントギミックの関係にも似た構造と演出を思わせます。
それが、プリキュアという作品やキャラクターの思い入れと相まって、深い感銘を与えるのではないでしょうか。
最後にTAFやおもちゃショーでデモしていた立体視コンバートされたダンスEDムービーまで、このシアターの大画面で上映され、講演は終了となりました。……この立体視コンバート版の大画面上映は、現状では今回限りみたいなコトでしたので、これもラッキーでしたよ♪
この立体視コンバートって、どうやってやるのか疑問だったんですが、2-D・3-Dコンバータ・ハードウエアがあるんですね。
それも知ることが出来て、勉強になりました。
てなカンジで♪
充実した60分。これだけの内容で無料は、本当に超お得でした!
撮影所内の見学も、計ったように(?)『ゴセイジャー』関連のステージが中心で、そこもホクホク♪(ここは本題ではないので、割愛しますケド)。
ところで、セミナー後に宮原さんとちょっとお話をしたのですが──自分のことを覚えていて下さったことも嬉しかったり──、ダンスEDのルーツ的な話題の流れから『スプラッシュスター』のガンバランスの演出はどうやら長峯さんだったと判ったり、また『やえもん』でのキャラクターボードという役職は、貝澤幸男さんが描いたキャラデザインのラフ画を3-D用に整える作業だったとも伺い、色々とギモンも解けて(笑)そこも個人的には嬉しいところだったデス☆
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