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2009年2月14日 (土)

もぞもぞ☆ダルマ責め

『鬼太郎』93話は、『鬼太郎』班若手演出陣の中でもファンの間でも特に評価の高い土田豊氏の演出回です。
赤舌の回(82話)ではコンテ段階でのアレンジでネコ娘の出番をわざわざ増やして、水着を着用させたという土田氏ですから、今回も当然ながらネコ娘が鬼太郎のパートナーとして(明らかにシナリオ以上と容易に想像出来るインパクトある描写満載で)活躍します。

Neko9303明治時代から建つ古ビルのオーナーである金五郎は、ビルの建て替え工事をすることにした。居住者はみな円満に退去したはずだったが、ビルの4階に住んでいるという奇妙な紳士が現れ、ビルの建て替えを中止するよう金五郎に訴えてきた。このビルは確かに4階建てではあるが、しかし縁起をかついて3階の上は5階と表記しているため、4階は存在しないはずなのだ。謎の紳士の正体は妖怪・だるまで、この古き良き時代の建物に強い愛着を持っており、妖力を駆使して工事の妨害をはじめる。事件を知った鬼太郎はだるまをなんとか説得しようとするが聞き入れない。しかも彼が居座る4階には鬼太郎の力を持ってしてもたどり着けなかった。

ダルマの登場回は、歴代の『鬼太郎』でも常に傑作揃いということのようですが、自分は以前の『鬼太郎』は、それほど一所懸命見ていなかったので(爆)正直、この伝説というか伝統というか──はピンと来なかったりします。
ただ、今回のシナリオは三条陸氏自身が執筆しており、さらに5期『鬼太郎』の当初からのテーマとも言える、“21世紀初頭における妖怪のあり方”“人間と妖怪との関係性”“妖怪自身のユニークさ”をそのまま盛り込んだ内容となっていたり、Neko93095期『鬼太郎』の基本となる鬼太郎とネコ娘が、ある種『Xファイル』のモルダーとスカリーのように事件に挑むスタンスが貫かれている点(横丁のレギュラー妖怪が一切登場しないのも今シリーズとしては数少なく珍しい)などを鑑みると、こうした“ダルマ篇=傑作”伝説をかなり意識していたのではないかと思います。

四十七士の設定や、毎回のバトルで鬼太郎が窮地に追い込まれて大逆転するというパターン、あるいは三条氏自身が「ジャンプ」マンガの原作を担当していたイメージもあってか、“「ジャンプ」的”などと言われる今期の『鬼太郎』ですが、少なくとも自分は、今回のようなミニマムでちょっとホロリとさせるラストを迎える内容こそが、5期『鬼太郎』のもっとも本質的なエピソードなのでは? と考える次第・・・それは1期以来のアニメの『鬼太郎』の基本のような気もします。
そういう意味で93話は、極めて『鬼太郎』らしい1本といえるでしょう。

話のきっかけとしては今期ではお馴染みの、妖怪が宿る古き良き時代の物(いつもは自然であることが多いですが、今回は明治時代に建築されたビル)を人間の都合で壊してしまうと言うもの。とはいえ、毎度の自然破壊とは異なり、古ビルの滅失・新築という行為自体は、一概に人間側に非があるわけではない点がミソで──実際、景観保護として援助金を出すような自治体でない限り、古い建物を現代の安全基準をクリアしつつ維持してゆくのは、相当に至難の業です──、ストーリーの展開的な都合上、ダルマよりも金五郎(というか、その奥さん)に原罪があるように描かれていますが、それは鬼太郎が人間の味方をしやすくする、ある種の方便で、扱われる内容自体は現実の民事裁判でも白黒をなかなかつけにくい、かなりリアルなものです。
また、金五郎の祖父はダルマの存在を認識して、きちんと賃借契約(おそらく永代なのでしょう)を交わしていたという設定も、近代までは妖怪が割合と人間と共存していたことをさりげなく物語っていて、世界観的な広がりも感じさせてくれます。

Neko9307存在しないはずのフロアが、実際には存在しそこに妖怪が住んでいる──という発想も極めてナイスなもので、ダルマの意志が介在しなければそこへたどり着けず、鬼太郎やネコ娘たちが翻弄される展開も、どこかエッシャーのだまし絵(有名な無限階段とか)的な雰囲気もあって、ホラー的な恐怖感とは異なる奇妙さや不気味さを醸し出しています。

ダルマ自身の描写も、人間態の時でも現れる時はわざわざ前転後転で移動したり、妖怪の正体を現す時に逆立ちして人間の擬態を破るように変貌したり(この辺りのアイデアはシナリオ通りだったのか、コンテアレンジなのかが大いに気になりますね〜)、攻撃する時は無数の小ダルマを放って、相手をいわば圧殺するもの──でもそれが、ちょっとシュール&コミカルな空気感で描いているところもミソ──だったり、Neko9304弱点となる「笑いのツボ」もその小ダルマたちの中にいる(それが、サングラスをかけたタモリ風ダルマというのもおかしい! しかも、最初のバトルでその小ダルマが目玉おやじを追いかけ回すカットが、実は伏線になっていることを気がつかせないところも巧みデス)などなど、枚挙にいとまがありません。

演出的にも、特に冒頭でダルマ紳士が金五郎に建て替え撤回を迫るシーンでの、ストーブの窓の内側や、ヤカンの注ぎ口の内側など、実写であればシュノーケルカメラから撮影したようなアングルの、エキセントリックなレイアウトが非常にイカしており、しかも単にインパクトを狙っただけでなく、その時のダルマの台詞に合わせた感情のメタファーとしても機能している、とてつもなくテクニカルなものだったりします。
Neko9301また、主たる舞台が古い建物ということなので、BGの風合も凝っており、建物内の若干薄暗い雰囲気を加味させるためのグラデーション処理など、細部の仕上げもいつにも増して丁寧な感じもあります。

細かい描写としては、鬼太郎がダルマ唯一の打倒法として、にらめっこを挑んだ瞬間(激烈なヘン顔も凄い!)問答無用で、ねっとりとダルマのパンチが飛んできて瞬殺されてしまうギャグ演出が、もうサイコーヽ(´ー`)ノ

ダルマを演じる麦人氏の、コユイ演技も見事にハマってます☆

このように超絶的な完成度の93話の中で一番白眉なのは、その解決方法です。
退魔パターンにしない結末というのは、これまでも多かったのですが、しかしその多くは鬼太郎が敵対妖怪を説得して、妖怪側がいわば人間社会に妥協する(例えば、人里離れた場所に住処を移すとか、人間側にわびを入れさせて一種の不可侵条約を結ばせるとか)といったパターンが多かったわけですが、今回は金五郎自身も古ビルに愛着を感じていて本当は建て替えたくない気持ちを、きちんと見せた上で、自らの意志でダルマと一緒に暮らすことを選ぶ──まさに人間と妖怪の共存を選択するのです!
ラストシーンでの、ダルマと一緒に屋上から、幼い頃のように花火を満足げに眺める金五郎の姿は、そういった点からも感慨深いものがあります。

で、土田演出回ですから(笑)、当然全編に渡ってネコ娘の活躍シーンがこれまたてんこ盛り☆

Neko9308また最初のバトルで、小ダルマに襲われる際のナナメった煽りアングルの、エロロ〜ンなサスペンス感もGJ☆(ぶっちゃけ、パンツ先生レイアウトキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッってカンジでヽ(´ー`)ノ)
ギャグ的描写で行けば、Neko9302やはり最初のバトルで小ダルマの山に埋もれた時のダメポ顔をはじめ、小ダルマに襲われて涙目の表情や仰天した時のトンでもないヘン顔なんかもゲキレツ(笑)。この辺のセンスも、いかにも土田氏らしいカンジですヨ〜〜〜〜♪

Neko9306アクションでは、ダルマの居座る異空間の4階に突入するために、ターザンよろしくガラス窓をぶち破って突入するシークエンスが、メチャ格好良かったです。

そしてなんといっても、今回のネコ娘は新たな私服で登場という点が見逃せません!
基本の春服に通底する、古式ゆかしい(笑)サスペンダースカートとブラウスのコンビで、現代にあってはもはやトドラーウエアといって過言ではないスタイルは、むしろコスプレチックですらアリ(*´Д`)
・・・特に2年目のシーズンコスチュームは、夏が今野宏美嬢、秋は小牧文さんのアイデアを元にした、現代のティーンズファッション寄りのデザインだったこともあって、このスタイルは逆に新鮮でもありますヨ。

Neko9305この新私服にも、土田氏のこだわりが感じられます。・・・今回、珍しくポリシーを曲げてまで(?)劇中で日付が変わってもこの新私服で通していたのは、おそらくこのスタイルをきちんと印象づけたかったからではないかと思います。

と、トピックがありすぎる93話は、作監が劇場版を終えたばかりの浅沼昭弘氏というだけでなく、劇場版で作監補を務めていた薮本陽輔氏や中條久美さんも原画で参加する豪華版!
そういう点でも、スペシャルな一本でありました。

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