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2009年1月17日 (土)

2度目の『日本爆裂!!』(超絶長文www)

我が家の近所の映画館は、どこも昨日で『日本爆裂!!』の公開が打ち切られてしまいました。
公式ブログではそれなりに延長公開がなされているらしいとされていますが、やはりぶっちゃけると、あまり好成績ではなかったような気がします(涙)・・・例えば『レスキューフォース』は、延長はもちろん公開館がむしろこのタイミングで増えたりすることもさえもあるわけですから・・・。

そんな訳で、昨日もう一度『日本爆裂!!』を観てきましたデス。

二度目であっても、やっぱり冒頭〜Aロールでの鏡爺が鏡の中から華やマヤ先生を襲うCGカットは、奇っ怪にして不気味!
改めてみると、これらのカットのタイミングシートはCG班主導ではなくて、先にある程度、ラフ原的に入れた動きをトレスしているような感じがしますね〜。これは、校舎のガラスが割れて飛び散る破片の動きもそんな感じで、それ故に、どちらもロコツにCGと判るテクスチャリングやモデリングであるにも拘わらず、動きとしては2-Dアニメ的に“馴染んでいる”のではないかと思います。

また、初見でも思ったのですが、風祭邸でのオロチ女VS鬼太郎のシーンでの、植え込み越しにカットを割ってのアクションや、胴体を樹に一巻きして鬼太郎と対峙するオロチ女のカットが、とにかく格好良くて、さすが古賀豪監督!
この肉弾的なアクションのカッコ良さは、鏡爺との鏡堂でのバトルでもっとも発揮されており、鐘楼的な建物の構造をそのまま使った、縦方向に移動する空間的なバトル(スリリングなテンポ感もバツグン!)を見せてくれてます。

得てして、長編アニメだと後半のアクションも盛り上げるためにより派手にしようとするものの、スケジュール的にコンテや作画が息切れして、大味になってしまう場合が多いのですが、意外と作画頼りにならないアクションコンテを作る古賀監督なので、後半のヤトノカミ成人態は指でっぽうを主体としたビーム攻撃バトル、クライマックスの完全態とのバトルは、空中戦と見せかけて、実はヤトノカミの巨体を鬼太郎が転げ回るだけ(スピード感や危機感を煽るカット割りになっているので、あまりその辺は感じさせないところがミソ)にするなど、前半のバトルに比べると作画にあまり頼らなくても成立するようになっているワケですよ。

このクライマックスのバトルで、ヤトノカミ(ヤマタノオロチのモチーフになったとされる神に近い怪物らしいです)と四十七士の力を受けた鬼太郎がぶつかり合う、まぁジャンプ展開ではあるのですがw、ただここで日本列島が“竜の形をした国”という比喩(『日本沈没』でやたらと登場する表現ですな(笑))を巧く持ち込んでいて、邪悪な竜(ヤトノカミ)VS正義の竜(鬼太郎)となっているところがポイント高し!(なので、おそらく鬼太郎はバックに光り輝く日本列島を背負って必殺技を繰り出すのだと思われます)

そのヤトノカミの封印を解く鍵そのものが華であり、封印した閻魔大王がそれを託した巫女の子孫である点、それをある意味守護する立場にいた鏡爺が、華の母親に思い入れてしまったこと。それをヤトノカミやオロチ女につけ込まれ利用された点など、謎解き的な部分も極めてロジカルで、またこれが家族や友人との絆や、それが希薄化している現代への警鐘など、寓意性、ドラマ性とも非常に完成度が高いです。
また華が人間を拒絶する直接の原因が、自分の持つ思い出が殺伐としているものばかりだということなのですが、その回想カットがすべてノイジーでモノクロームなフィルタ処理が入っていて、こうしたゲイコマな処理も説得力に繋がっている感じがあります。

で、こうしたテーマ性を象徴しているのが、冒頭に華が妖怪ポストに手紙を出すシーンとラストの、妖怪ポストのあった空き地へ母親と一緒に向かうシーンなのですよ。
前者は、昔ながらの空き地(いわゆる『三丁目の夕日』的ランドスケープ)でありながらも、その向こうに威圧するようにそびえ立つ高層ビル群で、華の孤独さを象徴しているのに対して、後者は空き地はなくなって駐車場に変わってしまっている(これは、鬼太郎との別れを示唆しているところがミソ)けれど、奥の高層ビルはヤトノカミの破壊から修復中という画になっているんですね。この“修復”というタームを、演出的に親子の絆の修復に引っ掛けているのではないかと思う次第。

「オトナアニメ」の三条氏のインタビューを読むと、マヤ先生のメガネはシナリオ段階での指定ではなかったとのことで、彼女が鬼太郎の前で正体を現す時にメガネを外して、それを踏みつぶすシークエンスがあり、インタビューで三条氏は上野さんのアドリブなのでは? みたいな形で述べていましたが、変装とそれを外すロジックとして、古賀監督がキャラ発注時にオーダーしたものなのではないかという感じを受けました。それがまた、萌え属性となるアイテムということで、巧くそうした形としても機能しただけなのではないかと(笑)。
そんなマヤ先生ことオロチ女ですが、彼女自身がヤトノカミの歯から生まれた存在という設定が、ギリシャ神話の「ドラゴンの歯」を連想させ、こういう和洋折衷感が三条陸氏らしい気もします。

細かい点ですが、感心したのはマテリアルに合わせたグラデーション処理がペイントか撮影かは判りませんが、きちんと入っていることです。
こうした細かい処理が、画面に密度感やリアル感、あるいは雰囲気作りに貢献している文字通りの隠し味なんですよね〜〜〜♪

それから、TV同様にこの映画でも夕景のシーンは常に毒々しく、原意的な黄昏や逢魔が時といった雰囲気を強く押し出していたのが、とてもイイカンジ☆

と、べた誉めしてきましたが、初見の時同様にBロールでの鬼太郎側とねずみ男側のストーリーの必要以上のザッピング感、また全体的にテンポ感や爽快感は高いものの、映画らしい腰の据わった雰囲気が、少々不足気味な感じもあります。
個人的には、もう少しもっさりしてもじっくりと華の感情を追うシークエンスや、サイマル感を犠牲にしても場面転換を少なくした方が良かったのではないか? とも思っています。
ただ、そうすると小さい子が飽きてしまう恐れも高いので、その辺のバランスを鑑みた結果のコンテなのでしょうが・・・。

また予想通り妖怪四十七士が、きちんと機能していなくて(爆)──鬼太郎に力を貸すのは、このストーリーであれば四十七士である必然は特にないですから。つか、むしろそんな“選ばれた存在”よりも、全国つづうらうらの妖怪たちが力を貸す方が、テーマにはあっていたのは? とさえ思えてしまうという(^^;;──頭でっかちなサービス企画だったなぁ〜という感じは否めませんでした。
それよりも、カメオ的に登場するベアードやぬらりひょん、あるいはヤトノカミの妖力によって人間界で(真っ昼間に(笑))百鬼夜行を繰り広げる妖怪たちの多くが、これまでTVで登場したゲスト妖怪だったりしたという“エキストラ出演”の方が、よっぽどファンサービスになってましたよ。

それと、思いのほか企画倒れだったのが、これもこの映画のセールスポイントとしていたネコ娘のエリア別コスチューム・パート(Cロール)なんですよ〜〜(;´Д`)
この映画のヒロインは完全に華なので(多少、鬼太郎と華のボーイ・ミーツ・ガール的な雰囲気さえもある)、無理くりにでもこうした見せ場を入れてあげないと、ネコ娘の出番は全くなくなってしまうので、ネコ娘ファンとしては、なんともビミョーな気分に(汗)。
でも、華に対して無駄にwヤキモチを焼いてしまうネコ娘というのは、やっぱりらしくてヨシヨシ♪ 一件落着したところでのカットで、ネコ娘だけがそっぽを向いているところもカワユス(*´Д`) だったのですが・・・。

その一方で、TVでは未だに使いあぐねている節があるねずみ男を、劇場版ではとてもイイカンジに描いていて、鬼太郎を裏切っているようで裏切っていなかったり、鬼太郎も信用していないようで信用していたりという、お馴染みの関係を見せてくれていたのは良かったですね。

そんなこんなで、5期『鬼太郎』の最小公倍数的な解のあり方としては、現状、これ以上は難しいという印象は受けました。
そういう意味では、満足度の高い映画でもあり、逆に変なサービス性を煽った宣伝ではなく、もっと正攻法な煽り方をすべきだったのでは? とも感じられるわけでございます。

ところで、今回もガラガラだったのですが(泣)、一緒だった20代くらいのカップルの女の子が、上映終了後「チョー面白かった!」とハイテンションで彼氏に感想をまくし立てていたのをみて、自分は別にスタッフでもなんでもないんですが、なんとも嬉しくなってしまいましたヽ(´ー`)ノ

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コメント

 何か、スプラッシュスター並みの客入りに落ち着きそうですね、映画版。
 公開開始時から入ってなかったって事は、映画の中身じゃなくて、「鬼太郎映画」って物自体に求心力が無かったって事になるんですかね。
 TVの方は視聴率も高くて、3年目に行くってのになぁ・・・

 来年はワンピが映画復活っつー事だし、こっちは打ち止めかrain

投稿: 宅川剛 | 2009年1月17日 (土) 20時21分

宅川さん・・・
>スプラッシュスター並みの客入り
「スプラッシュスター」は、確か本当に4週間でほぼ打ち切られたので、それよりは多少良いのでは? という気もしますけど・・・でも焼け石に水でしょうね〜〜(^^;;

映画を見た後で思ったのは、TV-CMでは小ネタばかりを宣伝していて、映画としてみてもらいたい部分が、実はほとんど伝わっていないという事実に気がつきまして、結局前売りを買って、先行上映や封切り週に観にいった人というのは、今のアニメが好きな人だけだったのではないかと・・・
一応、封切り週は7位にランクインしていたので、視聴率はそれなりに反映した成績だと思うわけです。
でも映画の動員は、それ以上が必要じゃないですか。

そういう意味では、もっと「鬼太郎」というブランド力に頼っても良かったんじゃないかな〜? と。

でもぶっちゃけ、冬にオバケ映画ってドーナノヨ?? というのが、あったりなかったり(^^;;

投稿: ぽろり春草 | 2009年1月17日 (土) 23時28分

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