♪いつもピーマンを残すけど、食わず嫌いはイケマセン☆
滞っていた『鬼太郎』78話のインプレです。
77話でのサブタイトルは縦書きになっていたのですが、また今回以降はいつも通り横書きに戻っています。・・・前回は雪女ということもあってか、文字も白くて、色々と“スペシャル”な感じのサブタイ画面になっていたということのようです・・・。
ネコ娘のバイト先である高級レストランに、奇妙な頭巾を被った一団が現れ、彼らに囲まれたお客やシェフは空腹を訴えはじめ、ついにはその頭巾の一団と同じ姿になってしまった。その頭巾の一団の中には頭巾姿になったねずみ男の姿が──。そして、さらに街の人間たちを次々と“仲間”へと変貌させて行く。その頭巾姿の一団とは、ヒダル神という妖怪で、食べ物を粗末にする人間を狙って、自分と同化させてしまう能力を持っていた。彼らは、現在の人間社会の飽食状態に怒りを感じていたのだ。ネコ娘の知らせを受けて駆けつけた鬼太郎だったが、オリジナルのヒダル神を見極めることが出来ず苦戦を強いられる。
割合と『鬼太郎』(5期に限らず)という作品そのものには、風刺的な側面があるように個人的には思っているのですが、今回はそんなニュアンスの強い、現代日本の飽食に警鐘を鳴らすようなお話。
「食べ物は粗末にしない」というのは、その昔「もったいないオバケ」という公共広告機構の啓発CMが有名なわけですが、テーマ的にはそれと同一で、それ故判りやすいものとなっています(しかも、今回はそうした所業に対して、死にそうな空腹感に襲われるだけでなく、妖怪に同化してしまうという、相当に恐ろしい“罰”が与えられる点が、恐怖感を倍増)。
またクライマックスでの、ヒダル神が赤ちゃんにミルクをあげた直後の、目玉おやじの「現代は飽食の時代かもしれんが、赤ん坊が飢えで死ぬこともない」というセリフに、ヒダル神も一応の納得を見せて怒りを静める展開が、このエピソードを単に教条的な形で終わらせず、飽食と豊かさが一枚のコインの表裏のような関係にもあることを解く、というところがまことに素晴らしい!
そして、それが日本というローカルな世界での出来事に過ぎない点をヒダル神が切り返す、チクリとしたセリフもまたポイント高し!
そういう点で、退魔的なノリで話が進行しながらも、鬼太郎がヒダル神を倒すのではなく、ヒダル神が自ら退くという、一種の和解の結末もイイカンジ。
そのヒダル神ですが、冒頭のお弁当を食べ残してしまうハイカーのカップルや、高級レストランの、不必要に食材をつぎ込んだ料理に舌鼓を打つ客たちを襲うのは、まさに「もったいないオバケ」のそれなのですが、ラーメンのスープの飲み残し(多少、麺も残っているように描かれてますが)は健康的な側面ではむしろ奨励されているくらいだったり、コンビニの弁当廃棄は食品衛生上必要な規定だったりもするので、か〜な〜り、ジャッジが厳しいですね〜(^^;;
まぁ、そうしたことも飽食にあぐらをかいた世界だからこそ、というコトなのかもしれませんが・・・。そう取ることが出来るのも、先に挙げたヒダル神のラストでのセリフがあればこそ。
また、今回鬼太郎やネコ娘もヒダル神の犠牲になりかけてしまいますが、その理由が鬼太郎がピーマンが苦手、ネコ娘がダイエットのためケーキを食べ残した、というなんとも“現代っ子”(死後)な感じで、珍しく子供っぽい鬼太郎の一面が垣間見れます(シナリオ的な狙いは、もちろんメインターゲットの子供たちがシンパシーを感じるようにという事だとは思いますが)。
さて今回の演出は、屈指の恐怖演出でお馴染みの角銅博之氏。
今回も、一部分に闇を作った不気味なグラデーションをみせるBGを多用したり、恐怖シーンやバトル系のシーンではアンダーな色調の処理を施したりと、毎度のことではありますが、角銅氏の十八番のホラー演出テクが随所に盛り込まれて、お話を引き立てております。
そうした中、(これも実はこの回に限ったわけではないのですが)ピーカンの青空の下でヒダル神が街中に出現して人々を襲うという、異様な現実感が、今回はいつもよりも印象深いものがありました。おそらくヒダル神の顔面がBL塗りつぶしというコントラストもあってのことではないかと思うのですが、しかし角銅演出回での昼間にヌッと出現する妖怪の、得も言われぬ恐怖感──これが暗がりや夜に出現するよりも不気味なのだ!──には、慄然たる思いを禁じ得ませんデス。はい。
今回からネコ娘は新秋服で登場。冒頭のアンサンブルとラストのニットシャツ&チュニックと、2タイプをお披露目してくれました。どちらも、去年の秋服よりもデザイン的にも凝っている上、きもち暖かそうな感じもします☆
さらに高級レストラン「Restaurant RICH」でのウエイトレススタイルも披露。ウエイトレスといっても、イマドキのスマートなスリムパンツにワイシャツという、非コスプレ系といいますか(苦笑)、リアルな雰囲気のデザインになってました。
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