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2008年6月 3日 (火)

目玉おやじの決死圏

『鬼太郎』60話は、オーソドックスなホームドラマ的シチュエーションとホラーエッセンスが上手い具合に融合した一本です。
と、同時に5期『鬼太郎』1話より時折かいま見せていた、妖怪横丁と“隣接”していると思われる、昔ながらの商店街を舞台にしたお話でもあります。

Neko6001

目玉おやじがお気に入りのシュークリームを売っている高木洋菓子店。昔気質の店主が一人で切り盛りするこの店の息子は、どこか無気力でいつも昼日中から公園でぶらぶらしている始末。息子のシンジを一人前のケーキ職人にしたいとは思っているのだが、その要領の悪さについつい頭ごなしに叱りつけてしまい、二人の間には溝が出来ていた。そんな時、商店街の居酒屋の店主から、グウタラしていた息子にある薬を飲ませたところ見違えるように働き者になったと聞く。そして、ケーキ屋の店主もその薬を手にいれてシンジに飲ませた。だがその薬は、実は人間の体内に寄生する妖怪バリバリの卵で、寄生された人間は、確かにやる気が起こるがその分、バリバリに精気を死ぬまで吸い取られてしまう“副作用”があったのだ・・・。

このバリバリの卵を“精力剤”として人間に売りさばいているのが、ねずみ男という形になっており、今回は冒頭のバリバリの卵を妖怪闇市で手に入れるシーンや、ケーキ屋の店主に卵を渡すシーン、そしてラストと出番自体はそれほど多くなく、また鬼太郎やネコ娘たちと直接絡むシーンも一切ありません。
でも、その小悪党ぶりやケーキ屋の店主の心の隙間につけいってくるエグくて不気味さ満点の描写など、ねずみ男らしいダーティな側面(ある意味で『墓場鬼太郎』並)が前面に出た、とても“らしい”雰囲気に満ちているところが、たまらなくグーです♪

思えば、ねずみ男と鬼太郎の腐れ縁を上手く見せていた42話「オベベ沼の妖怪かわうそ!」の演出も、今回の土田豊氏。これで土田氏は、ねずみ男の特徴となる二面性を両方描いたことになりますね。

で、42話では黄昏れ特有の薄暗さなどを巧みに利用した、卓越したホラー演出が印象的でしたが、今回はケーキ屋の店主の主観(POVでブレまくる画面や、魚眼レンズ風のレイアウトなど)で恐怖を見せる、心理サスペンス的なホラー演出を披露してくれています──意地悪い言い方をすれば、42話の黄昏時の薄闇の使い方や、今回の主観による心理サスペンス的な演出というのは、貝澤さん譲りのようなところもあるのですが(苦笑)、それでも単なる無闇なコピーではなく、きちんと見る側へ訴えかける適切な見せ方になっていることが、非常に素晴らしいと思うわけです。
また、バリバリに精気を吸い取られた若者たちの、血走った目で狂的な状態となった時の不気味さもショッキングで、ここでの演出と作画のマッチングも見事でした。

脚本は、目玉おやじ担当(笑)の吉田玲子さんということで、目玉おやじがシュークリーム好きなんていうハイカラ嗜好(死語w)なところや、ケーキ屋の店主が普通にオヤジさんと会話したりする、ちょっと惚けたセンスが面白いところ。
クライマックスで直接バリバリとバトルをするのが、鬼太郎ではなく目玉おやじというイレギュラーな展開も、吉田脚本らしいデス。

鬼太郎の毛針を一本もって体の中へ戦いに行くというシチュエーションは、おそらく『一寸法師』なのでしょうけれど、体内に寄生した怪物を倒しに行くわけなので、ついつい『ウルトラセブン』の「悪魔の住む花」、ひいては『ミクロの決死圏』を思い浮かべてしまったりヽ(´ー`)ノ
Neko6003でも実際目玉おやじの瞳に、シンジの口内が映り込むカット前後でのオヤジさんの決意は、まさにモロボシダンがダリーを倒しに行く決意を固める「よし! 未知の世界へ挑むぞ!」のソレですよ!
しかも、外側では鬼太郎が聴診器を持ってオヤジさんの状態をモニターする辺りは、やっぱり『ミクロの決死圏』的だったりもしますしね(笑)。

加えて、バリバリと対峙したオヤジさんが、気合いを入れて燃え上がるのが、形容表現的なビジュアル演出ではなく、本当にオヤジさんが熱くなって湯気が周囲に発生していたりするのも、なんとも愉快。
その物理現象さえも起してしまうオヤジさんの熱意に説得されて、涙を流して降参するバリバリという展開も楽しいですね〜。

今回のエピソードのテーマとしては、父と息子の心の齟齬にあるのですが、お互いに意思の疎通が上手く行っていないだけで、シンジの方も本当は父親の後を継いで、美味しいシュークリームを作りたいと願っている、という描き方もポイントが高いです。
Neko6006しかも、公園でシンジがぶらぶらしているシーンでは、野良猫たちに餌をやっているワケで、この猫たちとネコ娘が友達で・・・という繋がり具合を、ヘンにセリフで説明しないで見せるのが、たまらなくスマート! だからこそ、冒頭やエピローグで、ネコ娘が野良猫たちと屋根から顔を覗かせるというカットがきちんと生きてくるわけですよ。

ハートウォーミングな形で一件落着したように見せかけて、ねずみ男はまだバリバリの卵を人間社会で売りさばいていこうとするラストは、なんとも薄ら寒い感じもちょっとあって(リモコン下駄で成敗されてはいましたが)、寓意的な雰囲気も漂うものもありました。

それにしても、バリバリを使って好成績を上げていた野球選手やサッカー選手が登場しますが、巨人軍でのドーピング問題の矢先だったにも拘わらず放映したCX、GJ!!!

さてさて、今回の我らがネコ娘ですが、予告カットにもあったように今週から新しい夏服が登場。
しかも、土田演出回ですから、原則的に劇中内で日付が変れば服を変えるというコダワリもバッチリ。
しかもこの1回で去年登場した3点の夏服を一気に全部投入!Neko6000 プラス、新夏服の一つであるチェックのワンピ&ベストも加えての計4着。さらにコックさんスタイル(「よーし、がんばるぞー!」なポーズもカワユス♥)まで披露する着せ替えぶりで、コスチュームの変化がスゴイです♪

Neko6002
鬼太郎と二人で、シンジの作ったシュークリームを食べて感激してしまうコミカルなカットもヨカヨカです☆
アクションシーンでは、画面としてはシリアスなのですが、ネコ娘にはコミカルな表情や動きが付けられていて(シンジを背中から抑えようとするカットや、巨大なシュークリームが頭にハマってふらふらと歩き回ってしまったりとか)、Neko6004土田氏のネコ娘への“愛”が感じられる見せ場が細かく作られています。・・・厳しいことを言えば、若干画面全体のテイストと乖離気味な感じもありましたが(苦笑)。

あと、今回は鬼太郎と割合と水入らず(?)なツーショットが多かったのも印象的でした☆

そういえば、アバンでの鬼太郎が鉈を振りかざして薪割りするのは、何のメタファだったんでしょうかね?
雰囲気は満点でしたけど・・・。

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