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2008年4月 1日 (火)

ネコ娘対ミウ

『鬼太郎』1年目を締めくくる51話は、コミカルなテンションのネコ娘主役編。
土田豊演出回らしく、劇中内で日付が変ると、ネコ娘のコスチュームもきっちりと変えております。
ゲストも、32話33話に登場したアマミ一族のミウとカイの姉弟です。個人的には、ミウはもう少し早く再登場すると思っていたのですが、予想通り(?)鬼太郎を巡るラブトライアングル(笑)を匂わせたお話になっています。もっとも、見た目はネコ娘の独り相撲的ではありますが。

Neko5101鬼界ヶ島から、ミウとカイがやってくるということで、ネコ娘は二人を鬼太郎の代わりに東京見物に連れて回ることにした。ミウとは初対面のネコ娘は、予想外に綺麗で大人びたお姉さんのミウを見て思わず見とれてしまう。しかもカイの言葉からは彼女も鬼太郎を想っているようだ。危機感を抱きつつも、都内を案内するネコ娘。しかし飾らないミウの性格に、ネコ娘は親近感を感じるのであった。そしてやって来たショッピングモールで、地震が起こり逃げ遅れた子供を助けに行くミウとネコ娘だったが、その地震は巨大な妖怪・赤エイの仕業であった。

と書くと、ちょっと赤エイが悪者妖怪のようでもありますが、そう見せかけておいて、実はむしろ人間の開発による被害者であったというどんでん返しの展開となっているのがポイント。
従って、本エピソードのクライマックスはお決まりの鬼太郎VS悪妖怪とのバトルではなく、埋め立て地の地下に閉じこめられている赤エイを、如何にして救い出すか? というものになっていて、1年目のラストがネコ娘のコミカルタッチな話であるでなく、クライマックスにバトル要素が入らない、『ゲゲゲの鬼太郎』のオーソドックスなフォーマットからすると、色々とイレギュラーな内容といった方が良いでしょう。

しかし、人間の利便性に基づく自然破壊の犠牲者としての妖怪の位置づけは、5期『鬼太郎』の大きな特徴でもあるので、そこをきちんと押さえた上で、しかし鬼太郎たちが直接的に人間側を糾弾するわけでもないバランス(ミウやネコ娘が、赤エイが起した地震に巻き込まれた子供を助けるシーンが、人間側の糾弾を見事に避けているわけです)が、個人的には嬉しいところだったりしますね〜。

赤エイを救出するために、つるべ火の転送能力を利用するアイデア勝負なところもグー!
そのために横丁の面々が警帽を被って全員出動&つるべ火を元気づけるために、そろって歌を唄う流れは、リアルに考えるとちょっと無理がある感じもしますが(苦笑)、みんなで力を合わせて赤エイを助けるカタルシスの高さは、なかなかのもの。

細かいところですが、赤エイの昼寝が数十年というのも、妖怪のライフサイクルの違いを大きく感じさせるものがあってヨカです。これは、前々回のオババから家賃を5年分免除してもらったかわうそが「たった5年か」とぼやくのと似た、人間とのタイムスケールの違いの見せ方と感じる次第。

さてさて、今回の主役はなんたってネコ娘とミウ。
特に、全編を基本的にはネコ娘視点で描いており、前半〜中盤にかけての、大人っぽいミウに対して恋のライバルを意識してしまう抱腹絶倒なギャグ要素満点の描写の数々が、もうサイコー!
これがいつもなら、鋭角的で毒々しく(笑)ミウに対してジェラシー・オーラを放ちまくるところだとは思うのですが、ネコ娘自身がミウにある種の憧れを抱いていたる分(その振りとして、ミウとカイを待つシーンでの「私は早く大人になれる方が羨ましいなぁ」というネコ娘のセリフもイイ♪)、自分とミウを比較してドツボに陥ってしまう様を、徹底的にスラップスティックに描いてゆく描写の数々が、とにかくケッサク☆
Neko5104ガクブルのあまり鼻水まで流してしまう、激烈なギャグ表情辺りはもうスバラシ過ぎ!・・・こうした愉快な表情のほとんどはおそらく、土田豊氏の絵コンテ通りなのでは? と思われます。

また、ミウが意外と天然ボケなところを悪びれもせず見せたり(都内の名所巡りでのボケっぷりや、映画を見て揃って激涙するカット等々)Neko5102と、一緒に過ごすうちにミウとの心の距離感が縮まって行く、ネコ娘の雰囲気の持っていき方も上手いです。特にショッピングモールでの迷子の件でのデフュージョンフィルタを使った、ネコ娘たちの笑顔を抜いてゆく和やかなムードの作り方は、まさにGJ♪

ネコ娘の能力描写として、猫らしく暗いところも見通せる「デビルアイなら透視力」みたいな(笑)見せ方も、気が利いておりました。

Neko5105事件解決後、横丁でミウとネコ娘が会話するシーンでの二人のやりとりも、(見た目は違うのですが)同年代の女の子同士の友情みたいなものが垣間見えると同時に、ネコ娘の大人の女性への憧れも伺わせる、一粒で二度美味しいシーンですね〜。

加えて、おそらく鬼太郎に「好きな人はいるのか?」と訊きたかったであろうミウは、ネコ娘が陰から見ていることに気づいてNeko5106(ネコ娘が樹の後から顔を出すカットの照れたコミカルな表情と「こんばんニャ」というセリフも初ですニャ♥)、それを口には出さず、逆に鬼太郎にネコ娘と一緒に踊るよう勧めるというのも、彼女の気持ちを上手く表現しているカンジで、イイネ〜♪

ラストでの盆踊りで、「正調ゲゲゲ節」の鬼太郎の歌詞をワンハーフ被せて、Neko5108横丁の妖怪たちがミウとカイをもてなし楽しく過ごすモンタージュカットで締める盛り上がりは、どことなく“最終回”的で、1年目を締めくくるような仕上がりとなっていたのも、大変に良かったです。

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